今日はかねてより予定していた「筆子・その愛」を見に行きましたよ〜。

 こういう大作系ではない映画というのは、この前の「モーツァルトとくじら」もそうだけど、上映する場所が限られてまして、最も近いのが藤沢、という訳で、我が家からの距離を考えると、誰彼誘うわけには行かず、結局、1人で行って参りました。
 で、前にもパソコンの修理で来た事があるけれど、藤沢って、本当に大都会であります。JRの駅前は歩道橋になっていて、あちこちの主要商業施設に行けるのは、比較的新しく整備した街によくある感じだけど、便利ですな〜。

 便利だけど大きすぎないのが、地方の県庁所在地チックで私好みです(神奈川県ってのは、川崎から小田原まで、だ〜〜〜っとベルト状で県庁所在地クラスの都市が海岸線に並んでる感じですわ。あ、内陸の厚木や相模原を忘れてはいかんか(^^ゞ)

 映画「筆子・その愛」でありますが、NHKの福祉番組に出て来た主役の常盤貴子さんが、ものすごくキラキラ輝いていたので「(もともときれいだとは思ってましたけど)こんなにきれいな人だったの?」と驚いたのでありますが、オーラの秘密は子どもたちとの交流や制作に掛けるスタッフの思いが熱く伝わってかなと思います。

 鹿鳴館の花とうたわれ、津田塾大学創始者として名高い津田梅子と親しい家族の娘だったヒロイン筆子さんが結婚して生まれた子どもが知的障碍があった上、映画の中では優しかった夫に先立たれ、知的障碍のある子どもたちのために石井亮一さんが作った園に子どもを預けた事をきっかけに互いを尊敬しあうようになり、二人で滝野川学園の運営に情熱を傾けていく、その間の苦難や喜びを描いた作品といっちゃえば身も蓋もないですが、冒頭に明治になっても縛られて打たれて歩くキリシタンの姿が映るように、偏見や差別が今以上だった世の中で、知的障碍のある人たちをめぐる情況は過酷なものだったようです。

 閉じ込めたり、仕事に出るために泣く泣く子どもを縛り付けたりと言った心ならずの虐待の情況を見て立ち上がった人たちは、正しきノーブリスオブリージェの姿でしょう。石井亮一も筆子もそれぞれ恵まれた境遇に育ったエリートでした。

 エリート教育を行った津田梅子の名前が女子留学生の花として、多く語られるのと違って、やはり留学経験を持っている今の基準でも超エリートの筆子は、虐げられた人たちのために身命を注いで、一部の人以外にとっては無名だったわけですから(私も存じませんで)、こういう映画は作られるべくして作られたのだと思います。
 
 監督の山田火砂子さん自身が知的障碍のある娘さんがいるという事から、今なら禁句の差別語が時代背景ゆえ、ぽんぽん飛び出てきても、説得力があります。

 また、終盤に出て来た山田孝夫さん演じるお父さんが、知的障碍のある息子でも戦死して英霊となったと、口ではめでたそうに言いながら目に涙を浮かべる場面や、知的障碍のある子達には勿体無いと配給がろくに貰えず二十数人もの栄養失調による死者が出たという語りからは、今の日本が向かいそうな方向性(福祉切り捨てや武力で解決)に対する懸念や批判が感じられました。

 常盤さんや夫役の市川笑也さんも良かったけれど、もうけ役は筆子を支えたお手伝いさん、サト役の渡辺梓さんでしたね。実直で心温かい、けれども、やる時はやる、そばにいてくれたらいいな〜と思うような人を演じていました。

・・・って訳でお一人様映画鑑賞、良かったわ♪

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