今日は何の割引もない日だったけれど、シネマ・ジャック&ベティで上映中の「牛の鈴音」を見ました。この映画、地味な映画ではありますが、横浜駅界わいでは老舗のシネコンであるムービルでも先月辺り上映されたんですよね。

韓国の自然豊かな農村部に暮らす倹しい老夫婦と、彼らの家にいる40歳という牛としては超長寿な雌牛との日々を撮ったドキュメンタリーです。

ドキュメンタリーだから、著名俳優が出てくる訳じゃないし、派手な出来事は何もない、淡々とした日々を描いているのだけれど、風景がものすごくきれい。効果音なども無理に挟まず、カッコウや虫の音など、本当に自然な感じです。

年老いた働き者の牛をとっても愛しているおじいさん。8歳の時に鍼治療に失敗し、片足は細いままの障がいがありながら、とにかく働き者。おばあさんは、無口で頑固なおじいさんについて「私ほど苦労している者はいない」とか「こんな牛を大事にして、私の事は放り出しておいて」などなど、愚痴のオンパレード。

雌牛はよたよたとおぼつかない足取りながら、重荷を運び、おじいさんが刈り取った草を食み、印象的な(まるでお遍路さんのつける鈴のような)鈴の音を響かせて生きています。

雌牛が年を取りすぎたからと牛市場で買って来た雌牛は子どもを産むけれど、これが逃亡しては近所の畑を蹴散らかすヤンチャな雌。母親も年老いた先輩雌牛を角で押さえて、餌の先取りをする始末で、従順な働き者で、子供たちを育てるのに大いに貢献した長寿の雌牛とは大分違う性格で、高齢のおじいさんがしつけるのには大変そう。

おばあさんは効率を考えて、農薬を撒いたり、機械を使ってくれたらいいのにとブツクサ言うけれど、おじいさんは牛の食べる草がだめになると、そういうものは一切取り入れない。だから、おばあさんも重労働に付き合わざるを得ず、日々愚痴がついて出る。

具合の悪くなったおじいさんを乗せて雌牛は町の病院に行き、そこでもおじいさんは働き過ぎを医師から咎められるし、日本でいうお盆に帰省した子どもたちにも、牛を売って楽をして欲しいといわれ、とうとう、雌牛を手放そうと考えたおじいさん。

でも、よぼよぼよれよれの雌牛は出来るだけ安く買い叩こうという当然の反応しかなく、500万ウォンという買い手にしては法外な価格を主張するおじいさん(結局、手放したくないのですよね)は、牛と一緒に帰宅します。

いよいよ牛との別れの時がやって来ます。最期の時、牛の鼻輪、そして鈴を外して「天国へ行けよ」というおじいさん。こんな老いぼれの牛だのなんだのさんざん悪たれをついていたおばあさんも「国一番の牛だった」と弔います。

サラリーマン世帯から見たら、牧歌的でいいなぁ〜と思う草いきれのムンムンしそうな農作業も、おばあさんの言葉じゃないけれど、本当に難儀で、苦労なことだと思います(私も、素人の畑ではあるけれど、高校時代、無農薬で作物を栽培し、草むしりをした経験があります。たかがネコの額のような畑でも、すべて手作業で行うのはかなり大変でしたもの)。

でも、色々な事を言ったり、時として牛に八つ当たりをしたりしつつも、おじいさんは勿論、おばあさんもすごく牛を愛しているし、ブシブシ文句を言いながら、死が二人を分かつまで連れ添っていくであろう老夫婦の姿。最初はパッとしない二人に見えましたが、しまいまで見ると、地面にしっかり根っこをはったような、充実した年の重ね方をしているなぁ、と、とても親しみの感じられる人として見えてきました。

随所に出てくるおじいさんの手が、特殊メイク等で作ったものではなく、死ぬまで働くのだという頑固一徹さの現れたゴツゴツの働き者の手だったのが印象的です。


韓国で予想外のヒットをしたというのが頷ける内容でした。いい映画みた〜!



映画の前にはカメヤでパンを買って映画館で食べて、という最近のパターン。見終えてからは「はまじまん」でお茶をしました。(正式店名は浜志゛まん)

ボストンクリームパイというのが名物だとか。ケーキセットは何種類からか選べたのですが、人気NO.1という事でそれにしました。フレッシュなクリームたっぷりで、でも、くどくなくて、とても美味しいケーキでした。他のケーキもおいしそうでした。

映画を見たら、ケーキセットという選択肢も増えたぞ!(^_-)