タイトルがいかにも美術館めぐりっぽいんですけれど・・・・

 エルミタージュとは、シネマ・ジャック&ベティのある若葉町を関内駅の方に寄ったところにあるフレンチなのです。

 実は今日、映画を観る前にちょこっとランチをしようと思っていたビストロが臨時休業で、あちゃ〜。そこですかさず、行って見たかったのに、以前行ってみた日は定休日だったエルミタージュを思い出したのであります。

 店名が直ぐに出ないで「バイカルだ」「シベリアだ」とまっこと適当な事を言っていたので、エルミタージュの看板を見つけて「あれだ!」と言ったとたんに友人に笑われてしまいました。

 フランス料理の店がどうしてロシアの離宮の名前なんだ〜と思いましたが、そもそもフランスから啓蒙家なんぞを呼んでいた開明君主エカテリーナ女帝ですから、フランス語なのよね、きっと。と思ったら、お店の前の説明によると「隠れ家」なんだそうです(あの豪華な離宮を隠れ家って呼ぶなんて、アントワネットのプチトリアノンといい、桂離宮の田んぼ借景と言い、王侯貴族は贅沢だわ!)。

  昨日パスタを食べたので、1200円のパスタランチではなくて(それでも、ちゃんとデザートと飲み物ついていたよ)、ちょいと奮発、1500円のコースにしました。

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 きゃっほ〜、きれいな前菜。色が悪いのはカメラのせいです。
 小さなカップはな、なんとユリ根のスープ。美味しい! パテやテリーヌ、そして、京都野菜のバーニャカウタまで、ガラスの器の上に小世界。映画を見ないのならワインをいただきたいところでした。

 メインはお魚、お肉のどちらにしようかと思いましたが、お店の方のお勧めに従いお魚にしたら、二人で1匹どうぞと、まるまるでっかいレンコ鯛。鮮度を活かした素直な料理で、付け合わせの白菜、青梗菜に鯛エキスがしみ込んで美味しかったです。友人と二人、にゃんこ状態で、きれ〜に食べました。

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 デザートがサングリアのシャーベットとブラウニー。このブラウニーがまるで生チョコのようにしっとり。クルミが入ってるのでナッツ好きな私はうれしい。シャーベットも濃厚なブラウニーをひきたてるさっぱりした甘さ。もちろん、コーヒーか紅茶もいただけます。

サングリアシャーベット+ブラウニー


 ご機嫌よく食べていたら、シェフが「鯛をあんなにきれいに食べていただき嬉しいです」との事でご挨拶に見えました。はまっこのイケメンシェフですが、お魚が大好きなんだそうです。野菜とお米は京都の有機無・低農薬、魚は市場で早めに調達など、こだわりを教えてくれました。

 1500円はランチとして安くないと思うけれど、食べた後には高くなかったと思ってもらえるように作っていますとのお言葉、納得。私の思うお値打ち感にしっかり合格でした。(*^^)v

 木のインテリアで落ち着いてカジュアル。ゆっくりと過ごせて、 いやはや、映画に行くのがどうでもよくなりそうでした(笑)。

 しかし!と行ったジャック&ベティ。

 お目当ての「ブリューゲルの動く絵」。人気なんですね。レディスデーという事もありますが、かなりの人で、8割方席が埋まった感じです。


 で・・・・予備知識も何もなしに「ブリューゲル=農民を描く=和める」と思い込んで見たのですが・・・・


 
 のんきにほのぼの系で和みたいという人は見ない方が良いです。見終えてかなり重たいものが残る映画です。以下、ネタバレですので、これから観るのだ!と張り切っている方はスルーしてくださいませ。迷っている方には参考になるのか・・・微妙ですな。(^^ゞ




 「十字架を担うキリスト」という一見牧歌的な絵がどうして描かれたかというフィクションなんですが、赤い服を着たスペインの傭兵によるリンチと言ってもよいほどの処刑が日常的になっているフランドルの村。そこで起こるえぐい出来ごとにブリューゲルに画を注文する貴族も苦々しく思っているのです。

 ブリューゲルは大した罪状でもないのにむごい処刑をされる庶民の姿と、自分の妻の30年後の姿を想像して描く聖母マリアを溶け込ませて絵を描くのです。

 このあたり、ブリューゲル時代の現実と、キリストが処刑された時のエピソードが交錯し、服装はどちらもブリューゲル時代の姿ですから、キリスト教を知らないと、分かりづらいと思います。

 かつがつ理解できたのは、キリストを売ったユダと思しき男が聖書の通り、キリストになぞらえた男(マリアの息子)を売った事で得た金を床に投げ捨て、さらに処刑の丘に出向き、自ら縄を用意し首を吊ったというところからでした。

 画面左手奥のそそり立った岩の上の風車(原題はMILL & CROSSで、粉ひきと十字架、風車が粉ひきの動力源となっているのです)が奇妙で印象的だけど、牧歌的だと思って、ぼ〜っと見ていた風景ですが、よ〜く見ると、右手にある車輪のくっついた棒が立っているのは、冒頭、若夫婦の夫がいきなり鞭打たれ、蹴られ、くくりつけられてさらされた処刑用の物で、奥の丘の上にはT字型のクロス、これも処刑用、そして、ユダが首を吊った処刑台もあって、かなり不気味な画なんですね。

 まだ息のあるうちに高く掲げられ、無残な死を迎えた夫をカラスがつつきに来て、見ちゃおれない光景ですが、幸いなるかな、血まみれではあるが、まだきれいなうちにおろしてもらえたのは、多分、民衆は無辜の人に対する仕打ちと分かっていたからでしょう。これが、本当に悪党だったら・・・・ブリューゲルの画では、白くさらされたされこうべらしきものや、鳥がつついた後の髪の毛らしきものが描かれていて、さぞやおぞましい光景だったのだろうと思わされます。


  横暴を極める異国の傭兵に支配されている人たちのもと、十字架からおろされ、穴に置かれた遺体が復活・・・とは行きませんで・・・・活劇じゃないから、ハッピーエンドにはならないのです。

 言葉を発さずに、高い高い風車のそびえる頂点部分から丘を見下ろす老齢の粉屋の姿に、ブリューゲルは神を重ねているのですが、内部構造はギシギシ言う巨大な歯車が回り、印象的です。クレジットを見るとロケ地がニュージーランドらしいのですが、なるほどゴツゴツの岩山はらしい風景です。そして、CG多用でなかったら、あの画にそっくりな光景は描けなかったでしょうね。重たいテーマと別に映像美術の進歩も感じさせてくれる作品です。

 ラストシーン、美術館に飾られた画がほかの作品と共に映されています。階段を下りて、展示室に来るらしい人の気配を感じさせながら終わります。


 う〜む。

 美味しい魚料理、普通ならば、もたれずすっと下りて、では、今年の締めくくりに「浜じまん」でケーキセットでもとなったと思うのですが・・・重たい映画だったので、空腹感を感じず、ただちに帰途に着きました。


 私のような予備知識なし&能天気な期待をするようなアホじゃなくて、美術作品の背景を考えたい人にとっては、見ごたえある映画だと思いますよ。

 そうそう、キャストを見て「おおっ、ロミオとジュリエットの敵役じゃん」と思ったマイケル・ヨークさん。帰宅して公式サイトを見たら、間違いなくあの人でした。意地悪も若さもいっぱいだったティボルト役を演じていた彼も、スペイン支配に対し、反発を感じながら、画に描かせる事しか出来ない貴族役の円熟のお姿になっておられます(ジュリエット役のオリビア・ハッシーの清楚な顔立ちに似合わないので驚かされたドスのきいた声で「ティボルトォ」と泣き叫ぶ声が今も頭に残っています)。私も年をとるもんだ(笑)。

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