今、突然に思い出してしまったのだ。ハーベイとトクロポントという話。

 私が子供の頃、母が時々夢中になって色々な話を聞かせてくれた。大人になった今思うに、父に話しても通じない、兄に話しても通じない、そういう話を娘の私に聞かせたかったのではないかと思う。

 子供心に「もう少し上手に分かるように話してくれないかなぁ」と思いつつも、その時だけは母が私を一人前として話してくれているようで嬉しかった記憶がある。あれは確か幼稚園か小学校低学年か・・・
 私が子供の頃、既にジェームス・スチュワートという映画スターは過去の人であったが、その彼が主演の映画ハーベイというのがあったそうな。

 ハーベイというのは大きなウサギ。主人公であった善良なジミー君(ジェームス・スチュワートの愛称だと聞いている)には見えるが、他の人には見えない。見えない事で、彼は精神に異常を来した人と思われるのはよくある話・・・というのは今にして言える話で、当時は新鮮なストーリーだったのに違いない。

 街の人たちは最初彼を笑いものにしているが、だんだん見える人が増えてきて、という話だと母が熱弁をふるっていた記憶がある。確か、純粋な心の持ち主にはハーベイが見えて、町中の人が見える事で、感動的なラストを迎える話のように母は話していた。

 それと一緒に出て来たのが、日本映画だというトクロポント。今ネットで検索してもトクロポント氏という名前が出てくるだけなのだが、母の話を思い出すと、どうも当時よくあった、アメリカ映画の翻案ものだったのではないかと思われる。

 ちょうどライオンキングがジャングル大帝のパクリと言われるのの逆バージョン。アメリカに負けてしまった途上国日本としては当然の行為で、当時はお目こぼしだったのではと想像する。

 トクロポントではウサギの部分だけはアニメで実写ではなかったと母が言う。未だに見たことがないし、調べてもヒットしないので実在したのかどうかと思わないでもないが、トクロポントの話を語る時の母の口調に嘘があったとは思えない。

 トクロポントはウサギの名前で、やはり日本人の主人公男性には見えるけど、他の人には見えないというストーリーだったようだ。

 青春が「欲しがりません勝つまでは」であり、敵性語を習うなと言われて、女学校時代、英語は敗戦後abcから始めて、後輩達に笑われて悔しくてクラス中で泣いたというエピソードを持つ母にとって、戦後見た二つの映画は新鮮な生き生きとしたものとして強く印象に残ったのだと思う。

 それを何とか幼い娘に伝えたくて、一生懸命語った若き日の母の姿をふと思い出した。いつかこの2本見られたら良いのだが・・・。


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