友人と誘い合わせて、シネマ・ジャック&ベティで上映中の「天心の譜」を見て来ました。

 コバケンこと、指揮者の小林研一郎さんがシベリウスのフィンランディアの指揮をしているところから始まります。

 練習、コンサートの場面が切り替わりつつ、最初にスポットが当たるのは、知的障碍を伴う自閉症の女性バイオリニスト。

 彼女の練習風景と支える人々を写しつつ、「コバケンとその仲間たち」の演奏が仕上がって行く様子が映し出されます。

 「コバケンとその仲間たち」の楽団員には障碍のある演奏者が多く在籍し、配慮はあるものの、基本的に一般の演奏者と一緒に分け隔てなく練習をしているようです。

 活動についてはこちらにブログがありました。
  次にスポットが当たるのは、東日本大震災で参加が危ぶまれたスペシャルオリンピックスアテネ大会に参加する事になった被災者の女性。

 障碍を持ちながら、特別支援学校在籍中にヘルパーの資格を取り、福祉施設で頑張っている彼女の楽しみはテニス。彼女の家は地震により住めない状態となり、今は近隣の賃貸住宅に住んでいます。参加できないかもと思っていたスペシャルオリンピックスへは、ビリーブクルーという障碍を持つ撮影チームも参加。

 スペシャルオリンピックスとは、ウィキペディアによると「知的発達障害のある人の自立や社会参加を目的として、日常的なスポーツプログラムや、成果の発表の場としての競技会を提供する国際的なスポーツ組織。いつもどこかで活動しているということから、「Olympics」と複数形になっている」との事です。

 スペシャルオリンピックスについては、この映画の製作総指揮者の元首相夫人、細川さんが非常に熱心に活動されているようで、以前にも映画が製作されています。

 海を見下ろす大変に美しい眺望のギリシアのアーティスト宅に合宿するビリーブクルー。オーストラリアの強豪相手に頑張ったけれど、あと一歩及ばず、準優勝の彼女は泣き崩れたものの、表彰式では笑顔です。

 ビリーブクルーがコバケンとその仲間たちの活動を撮っているというつながりで、スペシャルオリンピックスの撮影につながって行くようです。

 スペシャルオリンピックスの場面のあと、コバケンさんの足は津波で全く姿を変えてしまった福島へ向かいます。

 コバケンさん、いわき市のご出身なのですね。ふるさとが壊滅的被害を受けている光景を見るのは辛いお気持ちだったと思いますが、出来ることで支援、という事で、中学校で自らピアノを弾きながら、語りかけます。

 コバケンさんがどうして障碍のある演奏家たちと関わるようになったのかというのは、多分、福祉に詳しい方には知られている話なのでしょう。映画の中で描かれていないのが、初めて見る者にはちょっとわかり辛いのが残念でしたが(やっぱり知りたいですからね)、コバケンさんの誠実さ、あたたかさ、一生懸命演奏したり、プレイしたりする演奏家やスポーツマンの障害者たち、裏方で頑張る障害者たち、それを支える多くの人たちがあったかい映画でした。

 最初のエピソードのオーケストラは著名演奏家や池田利代子さんと共演するのですが、その1人、ヴァイオリニストの川畠成道さんも、ほとんど見えない強度の弱視という障碍をお持ちです。

 祖母が元気だったころ、八ヶ岳のペンションで川畠さんのコンサートが開かれて、ごくごく近くで観賞させていただいた事がありますが、お母さまが長命な祖母の手を取って「私もあやかって長生きしたいです」とおっしゃったのに胸を打たれました。川畠さんはその頃には「徹子の部屋」にも出ておられて、既に演奏家として自立していらした。それでも、ハンディのある息子さんをずっと見守りたいと思っておられる親心なのでした。

 今秋ベルばら展で、影響力の大きさを再認識した池田理代子さんの歌声初めて聴きました♪

 

 映画の後は、おなじみお楽しみ。ランチはエルミタージュでいただきました。今日は真鯛のポアレにしたよ。

 おしゃべりを沢山楽しんで、伊勢佐木町をぶらぶらして、最後は有隣堂でクリスマス絵葉書を買って(溜めこんだ図書カードで)帰りました。

 今日も楽しい1日なのでした。

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