思いがけない乗り遅れによる方針転換で見たレミゼラブルですが、なかなか良かったです。

フランス文学にはとみに疎くジャンバルジャンも三銃士もごちゃごちゃになってる私ですが、ジャベール警視の名前だけは知っておりましたよ。

しつこい、執念深い!

脱獄囚のジャンバルジャンが正体を隠し、市長兼実業家にまで出世したのに、ジャベールは大して出世もせず、良く言えば地道に悪く言えば冴えないまんまなのが、しつこ〜く節約生活していても蔵が立たない我が身と共通なものを感じ、エロイカより愛を込めてのドけち虫ジェームス君同様にエラく親近感を抱きました。

ってなくっだらない話はともかく、ジャベール警視の子孫は欧米映画に様々な形で現れるんだなぁと思いました。

記憶に新しいところでは、ルアーブルの靴磨きで善良な庶民がかくまった密入国のアフリカ人少年を見つけ出そうとする刑事さんがいましたね〜。

この作品のジャベールさんは単純な白黒で判断したいタイプで、自分は法の番人で善。脱獄囚のジャンバルジャンは理由の如何を問わず悪でしたが、窮地に追い込まれた時のジャンバルジャンの振る舞いで築いて来た価値観がぶち壊されると共に、自分がいかに寄る辺無いかを突きつけられ絶望してしまいます。

俺は監獄の生まれだと言ってましたが、本当の悲劇の主人公は彼ですね。

それだけに学生たちの革命で年端もいかぬやんちゃ坊主が命を落とした事に敵対勢力に属しながらも心を傷め、そっと少年の服に自分のプライドの象徴と思われる警察バッジのような物を付けてやる場面は心にしみました。

もう一人、青年マリウスを愛してしまったいかさま氏夫婦の娘の悲恋も心を打ちました。結局恋敵のコゼットに彼を渡す事になろうとも、文字通り身命を賭して彼を守ったのです。

おい、マリウス、革命で散った仲間や愛しいコゼットの養父のジャンバルジャンばかりを偲ぶなよと言いたい。

ジャンバルジャンはそりゃもう素敵なおじさまで(って、オバサンが言うなよと言われそうですが、見ている時は気分は乙女で〜す)したよ。

一神教ならではの善悪に対する硬直した見方に対して疑問を投げかけている作品でもあると思いますが、重厚なセット、キャストの熱唱などなど、見応えありました。

私には◎!