今日は近所の友人の発案で、3人連れだってバンクーバーの朝日を観に行きました。

  監督は石井裕也さん。何と別の友人のご主人の学生時代の仲良しの息子さんだそう(という事は、満島ひかりさんのお舅さんよね)でありますが、俳優陣に光石研さんや田口トモロヲさんの姿を見て、「おお、石井監督作品だ」と思い出した次第です(石井監督の「あぜ道のダンディー」にW主演でご出演)。

 低賃金、高密度の労働を求められたカナダはバンクーバーの戦前の日系移民の若者たち。カナダの白人たちからは労働を奪うよそ者扱いや、けがらわしいチビ扱いと甚だしい差別待遇をされながらも、身を粉にして働いています。中には主人公の父親みたいに、いつまでもカナダに馴染まず、あくまでも仕方なくの滞在場所として考え、日本語で通し、稼ぎはあらかた故郷へ送金してしまうなど、家族の事より郷里の事だけ考えている人物もいますが・・・。

 時節柄、パリのテロの裏側には、過激な思想以外に、移民の待遇の問題もあると連想してしまいましたが、とにかく、日本人移民たちはよく働く。
 
 その中で、朝日という野球チームを作って、体格的にも自分たちを見下すカナダ人チームを相手に試合を行うというストーリーです。

 最初のうちは歯が立たなかったガタイのいい白人チームに対して、彼らの弱点である「小回りが利かない」「きめ細かさが無い」を逆手にとって、バントで押収。次第に勝ちを収め、人気が上昇し、しまいには見下していたカナダ人たちまでもが熱狂するという部分では、スカッと爽快感があります。

 ただし・・・・。
 風雲急を告げる日米開戦下、カナダは同盟国であるアメリカと同調し、日系移民はアメリカで行われたのと同様の仕打ちを受けることになります。 いったん埋もれてしまった彼らの栄誉が回復したのは、ごく最近の事でした。

 戦時中の事を知らない若い監督による作品ですが、戦争さえなければという思いが伝わって来ました。

 いろいろな意味で、隠れた戦前の事実と言うのが、戦後70年近くを経て、やっと明らかになって来る時代ですね(戦中の事なので、戦意喪失を恐れて伏せられてしまった1944年東南海地震というのも、最近になって判明した事があるようですし)。

 彼らの活躍の終息とその後に、情報操作や一元的見方の怖さも伝わって来ました。一生懸命働いていた若者たちは敵性国家の手先として、彼らの栄えある日々は埋もれてしまった訳ですから。勿論、日本側でも同様の事は起こっていましたし、恐らく戦争というのは、いずこでも、このような情報操作と敵についての決めつけが行われてしまうのだと思います。


 終映後、現実に戻ると、友人はファンである妻夫木君のユニフォームが似合わないよとかいちゃもんをつけておりましたが、考えさせられつつ、楽しめる作品で、ご家族で安心して見られると思います。


 しかし・・・

 
 実は映画の興を削ぐ二つの出来事がありました。

 ひとつは、右側に座った友人のすぐ斜め後ろの男性。まぁ、ものすごい咳でした。ほぼ四六時中という感じでゲホゲホゴロゴロ。うるさいったらありゃしない。風邪うつされそう・・・という程だったのですが、とうとう友人がたまりかねて「酷い」とこぼしたので、ドラえもんバッグからマスクをあげました。

 終映後見たら、アラウンド古希位のオジサンでした。

 友人曰く、最初はマスクをしていなかったが、あまりの咳の酷さに振り向いてガン見したら、マスクをしたんだとか。ならば最初からすればいいし、そもそも、他人への迷惑を考えずとも、あれだけの咳では、まともに映画を楽しめなかったと思うのですよね。

 「私なら行かない!」と友人。 そうそう。

 これが、観戦や観劇、イベントなど「今日しかない」だったら、同情の余地も0ではないのですが、比較的ロングラン映画で、どうして、あれだけの咳をしていて来るんだ!と我々は大いに怒ったのでした。


 そして、もう一つ。

 こちらは左側に座った友人の、通路隔てて隣の咳のご婦人。ひそひそひそひそ話しているのです。それも静かな場面で。本人たちは気を使っているつもりなのかも知れませんが、ひそめた声って実はかえって耳障りなんですよね。

 よほど、し〜!と言いたかったと友人。私も言いたかった位なのですが、ちょっと距離があったので我慢したのです。

 そして、立ち上がった姿を見たら、杖をついているご高齢の方なので、もう仕方ないかなと思ったとの事ですが、杖ついていたら、何してもいいのか、年取っていたら何をしても許されるのか・・・と思ってしまいました。


 最近、高齢化が進んで、映画等、色々な場でシニア向けサービスが充実しているせいか、多くの方をお見かけします。

 その事自体は、元気なシニアが増えて、消費行動は経済的にも良い事だとは思うのですが、残念ながら、中には「安いから行こう」という事なのでしょうかねぇ。 お楽しみに場馴れしていないのか、マナーがなってない方もいるのをまま見かけます。

 特に戦前〜高度経済成長期の事を描いた映画作品を見に行くと、そういうシニアとの遭遇率が高いです。(;´Д`)

 去年の「プリンセス・オブ・モナコ 公妃の切り札」の時も、脳こうそくでも起こしたのかと心配した程、ガーゴロガーゴロいびきをかいている人がいた事は日記に書きましたが、終映後、電気がついて辺りを見回しても、救急車も来てないし、何事もない気配でしたから、あれは、単に映画館に昼寝に来た迷惑千万な人だったのだろうと思います。

 いびきの音声からして、やっぱりシニアのオジサンだったんだろうと想像しますが、かなりの音量だったので、直近の席に座った人たちは指定席という事を呪いたかったのではないかと同情致します。

 
 戦中、戦後まもなく位に生を受けたあなた方が、お楽しみ時間をはしょって働き、家庭を守って来られたのはよ〜く分かりますが、どうぞ、マナーは守ってご鑑賞くださいませ。そこそこ体がお元気で頭が回っておられるうちは、年を取ってるから、マナーが悪くても許される、というのはなしにしてくださいませ。


 じゃないと、言いたくなっちゃいますから。

 あなた方ったら、問題山積みにして退職金がっぽり貰って、年金も充分貰って・・・下の世代にツケをたんまり残したトップランナーじゃないの・・・って。

 勿論、素敵なシニアもたくさんいらっしゃるのですが、たまにいるのよね、困ったチャンシニアが。そして、その困ったチャンに対する耐性がだんだん乏しくなってきている体力気力下り坂な私たち世代なのです。(^^ゞ

 お願い、マナーを守ってくださいね。じゃないと、私たち世代の中で、脳劣化はいち早く進んで、後先考えられなくなって来てるのに、体力だけはある誰かが、何かしでかしかねないから・・・とこれは半ば本気で心配しております。

 困ったチャン出現率の高い世代と、せいぜいひと回り内外しか違わない世代なので、下の世代からは「目くそ鼻くそを笑うだろ」と言われかねないのでありますが(上の世代の人たちとは大違いだよっ!!と言いたいところですが、今の若者の厳しい就労状況を思うと、就労に於いては概して恵まれていた世代と認めざるを得ませんし、若者の目には同じ穴の貉でしょうねぇ〜。)、それだけに、人の振り見て我が振り直せと自戒しませう。

人気blogランキングへ