先週のレディースデーの満席、補助いすしかありませんで、すごすご帰った「おみおくりの作法」。それでは、割引きない日だけど、明日のレディースデーは旗日で、先週よりなおさら混むだろから、今日見ちゃいましょう!で、またジャック&ベティに行きました。

 しかし、フツーの日の割に、中ほどから後ろの席はほぼ満席です。さすがに前の見づらいところは空いていましたけれど、いつでも1000円のシニア層以外に、明らかに私より年下の学生さん風などもいらしてました。メンバーになると、学生さんは1200円で済むってのもあるからですかねぇ〜。
 
 「おみおくりの作法」は、珠玉の佳作という言葉がふさわしい作品でした。

 実直で誠実な小市民である公務員。ジョン・メイが主人公。 親世代から、私が若いころまで馴染んできた「欧米人の主人公は美男美女」を覆す、本当にどこにでもいそうな、容貌は勿論、着ているものだって、大勢の中にいたら埋没してしまいそうな中年男性。独身。
   彼の仕事は、孤独死した人の身寄りを探して、見つからないなら、あるいは身寄りも寄りつかないのなら、自分一人でおみおくりをするという仕事。司祭や牧師などを除いたら、彼一人が棺を前におごそかに送るのです。死者のためにBGMや生前の姿を想像しての弔事も彼が用意します。

  しかし、効率主義で情が無い上司は、彼の丁寧で心のこもった仕事が気に入らない様子。もっと、たったと片づけて、死んだらそれまでなんだから、情をかけてやる事はないんだという、イケメン気取りの男。

  ある時、彼の住むアパートの向かいの住人が死後何日も経って発見されるという事案が起こり、真向いに住みながら、何も知らなかったその男の生きた痕跡を追い始めます。

 彼が暮らした女性、娘、ホームレスになっていた頃の仲間、パラシュート部隊の同僚など、飲んだくれでろくでなしとして死んだ彼の人生に向き合って行きます。

 この先を書いてしまうと、ネタバレなので、もう書けませんが、上司に認めてもらえなくても、誠実に生きるということは、必ず誰かが見ているという事を感じさせてくれる作品です。

 「ダウトン・アビー」のメイド、アンナを演じている女優さんが、ジョン・メイの人生のターニングポイントを握る役で、父親に対して屈折した思いを抱いているものの、相変わらず可憐です。

 ラスト、涙がわ〜っと出ました。

 アクションがある訳でも、熱烈な恋愛がある訳でもないけれど、しみじみと心にしみる作品でした。

 実は余韻を楽しみたいから、もう1本続けるのはいかがなものかと思いましたが、上映期間が2月いっぱいまでで、またレディースデーに席がないになるのは嫌だなぁ、出直すと、交通費もワンコインでは済まないよで、効率を考えた結果、続けて安藤桃子監督、安藤さくら主演の「0.5ミリ」も見ちゃいました。

 こちらは介護ヘルパーをしていたヒロイン、さわが、利用者さんからのたっての望みに「お金を弾む」という事で、センターに内緒で受けた仕事がもとで、トラブルに巻き込まれ、クビになり、放浪を始めることとなります。

 さわは、流れ着いた町で、何らかの弱みをみせるおじいちゃんに食いついて、寝食にありつくのですが、決して、悪い女ではない。すごい勢いで、おじいちゃんの弱みに付け込み、時に脅したりしつつも、住み着いた時から、誠実に仕事をし、料理も上手だし、介護もうまい。最初は「あんた何もん?」状態だった、おじいちゃんたちも、次第にさわを頼りにしたり、ほのかなエロ心を抱いたり・・・。

 最初は軽妙に笑わせながら話は進み、後半はだんだん重い話になります。

 特に、認知症の妻の世話をヘルパーさんに任せ、仕事と称してはスーパーの休憩椅子で時間を潰している、元謹厳教師を演じる津川さんが、認知症の兆しを見せる場面では、ただいまの政治家に向かっているのではないかと思える勢いで「戦争はバカなもんですよ」「相手だってそうでしょ」「亡くなった方には本当に気の毒で」とさわさんが、記者を装って尋ねる問いに、何度も何度も繰り返して言うのです。

 この作品、2013年に作られていますが、まるで最近の政治の動向を予見しているみたいです。

 戦争への思いは、エクゼクティブプロデューサーの安藤姉妹の父上の奥田さんなど上の世代の影響もあるかも知れませんね。

 タイトルの0.5ミリの意味は津川さんが演じる先生の言葉に出て来ます。ぼさ〜っとしていたので、言葉が通り過ぎてしまったので、ちょいと難しい。
 

 奥田・柄本ファミリー大活躍な作品で、安藤和津さんがフードスタイリストを務めて、津川先生んちのええかげんヘルパーに角筈和枝さん、つまりさくらさんのお姑さん、最終エピソードでバンバンたたき合いになるのが柄本明さんで、だんなさんの佑さんと義弟の時生さんが出ていないのが不思議な位です(笑)。

 さすがに芸達者な人たちですから、本当に自然に他人同士に見えますが、そこは予備知識が邪魔して「おいおい、お舅さんをそんなにバンバン叩いていいのか」とかつツッコの念が出てきてしまうのが、若干困りものでした。(^^ゞ

 3時間越えで、ちょっと盛り込みすぎな感じはしましたが、監督の強い意欲は感じました。おじいちゃん、おばあちゃんも、津川さんや草笛光子さんをはじめ、皆さん、ユーモラスに、時にリアルに演じていて見ごたえがありました。織本順吉さんのもうお迎えが近いのに、いつまでも枯れない爺さんなんて、鬼気迫るものがありました。

 こちらは死の前の生の部分を描いていて、おみおくりの作法とはまた違う雰囲気ですが・・・

 生きるのも死ぬのも、人間、自分の思い通りには出来ないという事は2本見て、改めて思いました。

 ならば、生きているうちにやりたいことはやっておきたいし、人とのつながりも大事にしたいし、逆に、つながりたくないのならば、無理につながる事はないし、やりたくない事も無理にがンばることはないとも思いました。

 2本合わせて3000円なり〜♪

 そして、2本合わせて5時間近くなり〜(^^;) こりっこりっ!


・・・・帰りに接骨院に寄ってから帰りました。(^^ゞ

 次は、同じく安藤さくらさんの100円の恋を見ようと思います。

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