ジャック&ベティは水曜レディースデーには爆混みすることが増えて来たので、溜まったポイントを利用して、本日、なんでもない日に「百円の恋」を見て来ました。

  学生時代の後、長らく映画を見られない時期があったので、例えがかなり古くなりますが、この映画を見て思ったのは「安藤サクラは、日本のロバート・デニーロ!」「この映画、21世紀の日本のロッキーだわ」でした。

  ロバート・デニーロと言えば、一作で体重を何キロも変えてしまったり、役柄に合わせて変幻自在の名優ですが、安藤さん演じるヒロイン一子、冒頭では、だら〜っと弛緩した見るからにだらしない体型なのが、終盤では引き締まったアスリート体型になっているではありませんか。
 
 地元紙の映画評では2週間の撮影期間だったとの事で、いやはや2週間でこれだけ体型変化を感じさせる女優さんってすごいです。若手の体力があって出来る事でしょうけれど、彼女のきれいごとじゃない演技のリアリティはすごいです。

 そして、ロッキーと同じく、底辺の生活を送る主人公が、一念発起してボクシングに燃えるという設定。ロッキーのように華々しい対チャンピオン戦はありませんが、弛緩しまくった人生から、自分を追い込む人生へ・・・いさかいがあったり、彼女の言動に頭を痛めていた家族までが応援席で声援をあげる姿が印象的。
 そのだらだらからの決別に至るには、実家の弁当屋に出戻ってきた妹との大ゲンカ、母親にお金をもらっての一人暮らし初体験。それに伴う100円コンビニ勤務。その間に見かけた引退年齢のボクサーへの恋・・・などなどございました。

 100円コンビニの店員さんたちがまたそれぞれに個性的というか・・・要するに吹き溜まりの人たちなのです。妄想の酷い元店員のド派手おばちゃんは盗みでクビになったのに、期限切れ食品をあさりに来るし、元店長は鬱、新店長は本部押しつけの規則まんまの小人物、ほかの店員も頼りないヘロヘロだったり、セクハラオヤジだったり・・・

 実家だって、妹が離婚して戻ってきただけではなく、どうやら父親は髪結いの亭主ならぬ弁当屋の亭主状態のようだし、母親が頑張っている(このお母さんは「川の底からこんにちは」で満島ひかりさん演じたヒロインの父が経営する工場の古参従業員にして、確か・・・実は父の愛人を演じて印象的な女優さんでありました)ド庶民。風邪を引いて一子のアパートに転がり込んできたボクサー狩野は、彼女を利用するだけみたいないい加減な奴だし・・・

 と、おおよそ環境には恵まれない様子は、ボクシングに目覚める前のロッキーの様子を思い出しました。

 ボクサーの狩野への恋心や、理不尽な体験、狩野の浮気などを経て、燃えて行く様子。トレーナーやジムオーナーが制限年齢ぎりぎりの一子にはプロテストを受けるのは無理と言いながらも、熱意に押される様子・・などなど、引き込まれて見てしまいました。

 試合の結果はロッキー同様。でも、見ていて爽快です。見ごたえのある映画で、フツーの日に見に来て良かったよ〜と思いました。


 私、安藤サクラさんが好きなんですね(彼女のだんなさんや義弟さんも好き!)。そもそも安藤さんを知ったのは長男と一緒に行った「裏切りの街」という舞台。松尾スズキさんや田中圭さんが出演された、浮気だらだらするカップルの話なんですが、田中圭さんの同棲相手として登場したのがサクラさん。かったるい雰囲気の若い女の子が大胆なシーンもこなし、非常に印象的でした。

 その後、彼女が出て来る映画を何本か見まして、「かぞくのくに」では北朝鮮から一時帰国した井浦新さん演じる病を得ている兄を思う妹でした。

 俳優の奥田瑛二さんとエッセイストの安藤加津さんの娘として、恐らくは何不自由ない知性的な家庭に育っているのですから、取り澄ましたお嬢様チックな人生を歩んでも不思議はないというか、そちらの方がありがち人生ですが、彼女は底辺に近いところに生きる人、一見だらしなかったり、頼りなさそうでいて、心底には生きる力がむんむんしている女性を演じると、抜群です。次はどんな女性を演じるのだろうと思うと目が離せないです。

  おお、そうじゃ! ブルーレイにNHKの高知放送局が制作した、安藤サクラさん主演のドラマ「ダルマさんが笑った。」を録っておりました。これも見なくちゃ!(^-^)

  
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