梅雨なのだから当然と言えば当然ですが、もうしばらくお日さまの顔を見ていません。

  今日も腰が重くなるところですが、河鹹照監督の「あん」を近場で、なおかつレディースデーで見られるラストチャンスと思い、腰をあげました。

  今まで河鶸篤頂酩覆箸呂官錣無かったのですが、風景や梢の音などが、美しい映像でした。
 物語は各所で紹介されているのでご存知の方も多いかと思いますが・・・

 志なく、本当は辛党なのに、何やら訳ありで仕方なしにどら焼き屋をやっている千太郎の元に、世間ずれしていない、ちょっと不思議な雰囲気を漂わせた高齢女性が訪れ、バイトをさせてくれない?と問います。

 が、高齢で、体にちょっと不自由そうなところのある彼女に、無理だよ、腰が痛くなるよと千太郎は断るのです。その時、済まないという気持ちもあって、店のどら焼きを1個渡して帰らせました。

 ところが、彼女はまたやって来て、今度は自作の餡を持って来た。曰く「皮はまあまあだけど、餡がね」。バイトは無理と帰らせた後、使いこまれた感じのするシールウェアに入った餡を、一度は「余計な事しやがって」とばかりにゴミ箱に投げ捨てた千太郎。

 しかし、ふと思いなおして、作業台の上に戻して、蓋を開けて、ひとなめ。ふたなめ。ムムッ・・・

 彼の店は4人位が掛けられる小さなカウンターもあって、学校帰りの女子中学生たちが小腹を満たしつつ、他愛ないおしゃべりを楽しむ場所でもあるのですが、その中学生たちが、餡を変えてみたどら焼きを美味しくなった、進歩したと絶賛。

 そこで、彼女、徳江さんはどら焼き店のアルバイトとしてめでたく雇われます。

 おしゃべりを楽しむ中学生の中で、一人、何やら事情がありそうな、屈託を抱える女子ワカナがいて、千太郎はできそこないの皮を彼女に渡していたのですが、徳江も彼女に語り掛けます。

 徳江、千太郎、ワカナの間にいい雰囲気が生まれ、餡が美味しくなったどら焼きも大人気。行列が出来る程の人気となり、順調そのものの筈だったのですが・・・

 千太郎の店の家主夫人が現れ不穏な事を言い始めます。それによって、徳江の人生の辛い部分を知る千太郎。ワカナも徳江の節が出来て、若干不自由そうな手を見て、気付きます。


 ハンセン病の患者さんたちが、どんな人生を送らされてきたかという事を描いていて、心にしみました。差別や偏見を声高に糾弾していないのですが、その分、じんわりと来ます。

 
 不思議な雰囲気の老婆を樹木希林さんが、最初はふて腐れ乍ら、次第に心を開いていく男性を永瀬正敏さんが演じ、ワカナ役は、何と希林さんのお孫さんでしたか。お父さんの本木さんの面影、言われてみればありました。

 療養施設で徳江さんと仲良しの佳子さんを市原悦子さん。

 この映画の最大の悪役は、訳ありの千太郎に恩着せがましく振る舞い、色々な要求を突きつけ、バカ息子のためなら何でもするいや〜な大家夫人でして、あの、隣の美代ちゃんだった浅田美代子さんが、本当にやらし〜面の皮の厚い中年女性を好演しています。

 エンドロールに流れる主題歌も良かったわ。


 昨年までの勢いから思うと、本当に映画とご無沙汰しっぱなしの今年でしたが、これは良作。見てよかった〜!でした。

  映画館があるのは、横須賀軍港めぐりの船着場のある横須賀ダイエーの中。

  さて、映画の後はちょっこしお散歩です。

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  軍港めぐりのクルーズは、もうすっかり観光の目玉のようです。駐車場に観光バスが2、3台見えましたが、恐らくツアーでしょう。ちょうど出航時間でした。

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  私は今までに4回くらい乗っていますが、軍港めぐりに参加すると、必ず言われました。「もし海の中に落ちたら、必ずこちら側に泳いでくださいね。あちら側はアメリカですから、パスポートが無いとダメです」という類の事を。日本でありながら、日本ではない、それが在日米軍基地なんです。

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 そのアメリカ側に停泊しているのは海上自衛隊の潜水艦。

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 沖合には自衛艦。 どちらもボケボケですみません。

 冷戦時代にはこんな写真撮れなかったのではないかと思います。軍港めぐりに乗船すると、皆さん、最初は撮影可能か心配されるようですが、大丈夫です。機密はもっと見えないところにあるんでしょうな。

 県民の4人に一人が亡くなられたという沖縄と、市内のあちこちに防空壕が掘られる程、空襲を覚悟していながら、実際は、米軍が海軍鎮守府を無傷のまま転用しようとしていたために空襲被害が無かった横須賀とでは、痛みの度合いは相当違うとは思います。

 ですが、基地の街として生きざるを得ない点では共通の思いがあるのでは?と横須賀生まれの私は思います。

 こちら側は、今は公園。幕末に横須賀造船所建設に力を尽くしたフランス人技師ヴェルニーと、勘定奉行として腕を振るった能吏、小栗上野介を顕彰する像を擁したヴェルニー公園です。

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 並ぶ胸像の右側が小栗上野介ですが、倉渕村で隠居していた小栗親子の悲惨な最期は痛ましいです。勝てば官軍の無残さを物語る結末です。

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 雨足が激しくなってきたので、手前で引換しましたが、奥の方には重文のスティームハンマー(小さな博物館の中にある)や重厚な守衛門もあります(またしてもボケボケ(^^ゞ)。

 明治の産業遺産が、めでたくこの度世界遺産登録されますが、この辺りも候補になっていて不思議ではなかったのではないかと思いますが、やはり基地絡みとか事情がありそうですね。

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 バラはもう盛りを過ぎてはおりましたが、まだ楽しめました。

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 バラの向こうに軍艦が見える風景は、日本では珍しいかも。

 「あん」で徳江さんの作る美味しそうな餡を見てしまったので、どら焼きが食べたくなりました。

 そこで、軍港クルーズの出発点に程近いところにあるシャトレーゼに寄って、どら焼き3個と塩大福1個を買って帰りました。

 恐らく、「あん」の上映期間はどら焼きの売り上げが上がっているのに違いありません。(^-^)

 シャトレーゼの白州工場見学時にはお買い物しなかったのですが、白州で餡のつくり方の説明を見た事もあって、工場生産ではあるけれど、美味しいんではないかなぁ〜と思います(まだ、大福しか食べてないのです。消費期限が若干長いどら焼きは明日以降で)。

 
  雨の日のお出かけ。重たい腰を上げた甲斐のある、楽しい1日になりました♪

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