ネタバレになるから、後半からは特にかけないのですが、芸達者な藤山直美さんと岸部一徳さんの夫婦コンビに、団地自治会長の江戸っ子の石橋蓮司さんに大楠道代さんを配した絶妙しゃべくり映画です。

 この作品で、藤山さんが、彼女の劇中の台詞風に言えば(って、私の常用句でもありますが)何たらかんたら映画祭で受賞されたこともあり、そりゃあ大人気のジャック&ベティでして、当日券は補助席まで含め完売でした。
 となるかもと予期してのレディースデーだったので、一時間前にはチケット購入しておいて整理番号38番をゲットで大正解でした。

 生活感あふれる団地の一戸に越してきた元漢方薬局経営の夫婦。コミカルな会話を交わしつつも、何か屈託がありげ。

 これは公開されているネタなので書いてしまいますが、あることから、突然だんなの姿が見えなくなる。

 そのきっかけは自治会長妻の他薦による自治会長選挙に負けたからではないか、との憶測から始まり、井戸端会議のご婦人方の噂が妄想と共にどんどんあらぬ方向に膨らむのです。

 そこに現代世相を反映した事象も絡まり、おかしい、笑えるだけではない切なさや、批評的な見方もあり、お目めパッチリでした。

  しかし、ちょっと離れた席から、ちょうど岸部さんや石橋さんが寝ているシーンの音響効果かと言わんばかりのいびきが・・・(^-^;

  明らかに男性でしたが、満席で席移ることも出来ない中、近い席の方々にはすごーい迷惑だったかと思います。メンズデーは明日の木曜だし、還暦以降なら毎日がシニア料金なんだから、よりによってレディースデーにいらっしゃらなくてもと思いましたよ。

  すごく面白いのに寝ちゃえるって、奥様にくっついて出なきゃなワシも族だったのかと、想像しちゃいましたが、この作品もそういうあるある的な日常が、少し歯車がズレるとどうなるかも描いていて、中高年に受けるのがわかりました。

  でも、多分、みんな、うちはそこまでじゃないぞって思って見てますよね(笑)。

  舞台になった団地はいまどきよくぞ残っていました!という懐かしいスタイル。私も小学生時代、高校卒業してから今の住まいに移るまで、長年に渡り、旧式な団地住まいでしたから、その造りに懐かしい!って思いましたがら床下収納は一階にしかなかったし、あんなに入らなかったなぁ。

  最近はセクシーイケメン認定されているらしい斎藤工さんが、ちょっとどうよな人物で意表をつきますし、キーパーソンなのですが、それは見てのお楽しみ!

   主役級は美男美女ばかりの映画も目の保養にはなりますが、酸いも甘いも経験した、もとい酸い比重が著しく多い人生を送って来た身には、こういう生活感あふれる演技には頷かされるし、そこから何があっても納得させられてしまいます。