政府は有効求人倍率の数字を示して、景気は悪くないとしばしばアナウンスしますが、週末に折り込みで入る求人紙を見ると、介護、保育、清掃がほとんどで、働き方も正規職員ではなかったり、あくまでも家計の補いレベルの賃金だったり。たまに「この収入ならかなり良さそう!」と思うのは薬剤師や看護師など、有資格でないと就業出来ない業種です。

  という事は、求人が出ている職種は労働内容の割に給与が見合わないか、一家を支えるだけは稼げないというのがほとんどで、これをもって景気が悪くないと言っていいのか、甚だ疑問に感じます。

  人手不足業界と言えば、ドライバーや建設業界もだそうで、建設業界については、普段の生活であまり密接な関係がないので、よくわからないのですが、ドライバーについては、多くの若者の命を奪ったツアーバスの、複数の悲惨な事故の原因に、人手不足や劣悪労働環境があげられています。

 研修不足、技量不足。しかも過密なスケジュール。

 最近では宅配ドライバーの労働条件も悪化、つい先頃もストレス過剰な運転手が、大事な荷物をあまりに乱暴な扱いをする、というプロにあるまじき映像がネットに上がり、物議を醸したばかりです。

  佐川急便と、はっきり特定されてしまいましたが、佐川急便と言えば、人使いは荒いが稼げる、という事で絶頂期のホリエモンがNHKの討論番組で「(とにかく稼ぎたいなら)佐川急便のドライバーすればいいでしょうが」と社名をあげてしまい、司会の局アナが一瞬固まったのを思い出す程、きついけど元は取れるイメージがありましたが、どうやら、もはや元が取れないほどのストレス過剰労働のようです。
 
  このドライバーがした事は決して許せる事ではありませんが、OL時代、理不尽な先輩に本来一度ですむところを何度も何度も重たいカタログを別のビルの地下から持ってくるように言われキレた経験を持つ身としては、心情は理解出来ます。

   ってな事を思った昨日だったのですが、毎年恒例にしている義母宅に晦日到着、すなわち本日着で手配しているお節料理が全然届かない、と家人から連絡がありました。

  そこでお節料理の取り扱いをしている購入先のコールセンターに問い合わせたのですが、宅配業者が佐川急便でした。

   家人は午後から墓参で出たい、高齢の義母一人の時に受けとるよりは、自分も確認してから、と思って待っているのに来ない。それでだいぶ苛立っていました。

  問い合わせたところ、午後3時までには到着するはずという事でしたが、それでは遅いと見切り発車した家人から、再び電話がかかって来たのは午後5時過ぎ。未着です。

  再び問い合わせをして、状況報告を待つものの、20分経過しても連絡がないので、また電話しました。

  私も物流関係の仕事をしていたので、年末は渋滞のために時間が遅れがちなのは承知していましたが、例年より遅く、なおかつ一旦約束した時間から2時間以上経過しています。

  ついつい、頭の中をよぎるのは、あの宅配会社だからか?です。

  これはあくまでも想像ですが、ああいう事が表に出た分、過剰に丁寧に配達しようとして時間を喰っているのかも知れない、と思ってみたり、宅配お節料理の配達先は義母のような後期高齢者が多く、聞こえなかったり、直ぐに受け取れなかったりてまどっているのだろうか?と思ってみたり。

  家人に至っては、ほぼ「あの会社だからだ」という論調です💦。電話の向こうで頭から湯気を立てているのが目に見えるようで、胃が痛くなりました。

  結局、四回目の連絡で午後7時までには配達するという事で、6時半頃に到着したようですが、ドライバーさんは「場所がわからなかった」と言ったとかで、また家人がぶつぶつ言いました。

  あー、一人の社員のとんでも行動の結果、一般消費者は何か不都合不具合があると、「あの会社だから」って思ってしまうんですね。

  おそらく配達先で文句を言われたり、説教されたりした人もいる事でしょう。本人は落ち度が無くても、不祥事があると、とやかく言う人がいるのは気の毒ですが、それが世間なんですね。

  そういう言われようでストレスになり、とこかで悪い形で現れると、またその組織の評判が悪くなり、評判が悪いところには人が集まらなくなり、人材不足となり、ナビがあっても場所がわからない不慣れなドライバーが仕事せざるを得ない。

  延々と負の連鎖が続く訳です。

  元はと言えば、労働条件、労働環境を整えられない組織の責任ですが、その根底には消費者の安さを求める一方で、過剰なサービスを求める傾向があると思います。

  私自身だって、えらそうな事は言えません。午前配達、午後なら最低でも三区分くらいの時間帯で配達時間を選ばさせて欲しいけど、料金アップはやだよ!と思っています。

   労働対価に見合わぬ過剰サービスを廉価でという要求には、どこかで歯止めを掛けないと、結局回りまわって自分の首を、あるいは自分の大切な人の首を絞める事になってしまいます。

  価格競争にサービス競争、消費者はそれをありがたがってばかりはいられないところまで来ていると思います。
  
   24時間営業のファミリーレストランが営業時間を短縮したりという動きもありますが、コンビニも三交代勤務の工場や病院に勤める方々の利用がある等、24時間営業が必要な店舗もあるでしょうけれど、一般住宅街や終電後の駅そば等はそこまでの必要はないのでは?と思います。

   おもてなし、サービス、思いやり、ありがたい事ではありますが、そこで仕事する人の事を考えたら、そもそも計量をずるけたり、欠陥品を売り付ける事もあった時代に生まれた「消費者は王様」という概念はもはや古いと言えそうです。

  何も販売側が威張る必要はありませんし、無愛想もいただけないですが、スマイルと礼儀正しさがあれば、サービス提供する側が過剰におもねる必要はないという健全な社会が好ましいですね。

  それには衣食足りて礼節を知ると言えるレベルの暮らしが出来ないと。今の日本は崖っぷち・・・と本日のプチ事件から思いました。