〇〇に何が入るか?というのが、質問に答える掲示板、何か所かに載っていました。

 だいたいの回答で、雨が降り続く等、気象条件により仕事がしにくくなる業種が〇〇に入っていましたが、私が今、思ってるのは、人を殺すにゃ刀は要らぬ、という物騒なイメージであります。

 いや、もちろん、殺すってのは過激なたとえでして、本当に殺す気は皆無で、商売あがったりを強く言っているのだと思いますし、私にもそんな気は毛頭もございません事を前もって申し上げますが・・・
 言葉の力は良くも悪くもものすごい、という事を年齢を重ねるにつれ、実感するようになりました。

 泥棒や詐欺や殺人など、誰にとっても許せない卑劣な犯罪は別として、普通の人が普通に行動していて、人を傷つけるのは、行動よりむしろ言葉ではないかと思います。

 その例として、私が思い出すのが、フーテンの寅こと、車寅次郎さん。何かと周囲を騒動に巻き込んでしまい、おめぇがしっかりしてねぇからよなんてビシバシ言われたり、呆れらたりしつつも、憎めない存在なのは、寅さんが、言葉で人を傷つけていないからだと思うんですよね。観客にとって、その愛すべきおまぬけぶりに、絶大なカタルシス効果があるのですが、劇中でも困ったやっちゃと言われつつ愛されているのは、悪意のなさが言葉からにじみ出ているからだと思うのです。

 寅さん、マウンティングしたり、底意地悪い気持ち、自己チューに基づく暴言を吐いたりしませんもの。

 もしも、寅さんが周囲を巻き込んで騒動起こしたあげく、嫌な言葉を吐いたり、騒動の原因が自分にあるのに、人のせいにしたり・・・ってな人だったら、絶対に恨みを買って、本格的困ったちゃん扱いされて、もちろん、長年続く映画の主人公になんかなれっこありません(って、映画の中の話だから、寅さんは愛すべき存在だとも言えますが)。

 逆に、恨まれる人って、もちろん、やったことが相当酷いというケースも多々ありますが、さほど酷い事をしていなくても恨まれる、嫌われるのは、言葉の力を知らないからでしょう。

 これで思い出すのは、マイナーな事例ですが、ナルニア国ものがたりの第二巻「カスピアン王子のつのぶえ」に出て来るミラース王が、臣下に対して侮辱的な言葉を吐いた事で、裏切りに合うという下りです。「これは先ほど、あなたが私に加えた侮辱へのお返し」とずぶっとやる臣下。王も臣下もどっちもどっちの腹黒さなので、いずれ王はやられちゃったとは思うのですが、その前にずぶっとの前倒しは言葉による恨みのためなのです(今どきの児童文学なら残酷!でNG出そうな場面ですね)。

 安易にキレて、よく考えもせず、相手が傷つくような言葉を吐く。

 相手にはどうしようもない事を底意地悪くand/or勝ち誇ったように指摘する。

 まず最初に出て来るのが、相手に責任転嫁をしようとする言葉。 
 
 言葉の端々に人を見下したい気持ちがにじみ出ている。

 ・・・・etc.

 しかも、それに気付かない、したがって謝罪の気持ちがない人(そもそも、自分が相手を傷付けることを言った事すら忘れている輩は問題外ですな)は、人から嫌われます。嫌われるならまだしも、恨まれる場合も。 

 言葉で傷つけた相手が一過性の付き合いだったら、思い出すと嫌な出来事レベルで済みますが、望まないにも拘わらず、付き合いを続けなくてはいけない関係の場合、不快な気持ちは長々と続きます。積年の恨みの理由が、不用意な一言というのは、よく聞く話です。

 たちが悪いケースでは、モラハラパワハラレベルとなり、受けた人間が精神的に参ってしまい、最悪の場合、自死をも招くケース、小中学生のいじめから、ブラック企業の従業員まで、悲しい報道で知る通りです。

 逆に、言葉の力で救われる事も数多くあります。

 私も何度も、あたたかい言葉で救われて来ました。あなたの味方です、あなたの事を考えていますというのが伝わって来る、あるいは、その失敗、大したことないよ、などなど。

 言葉だけではなく、行動で救われた事も多々ありますが、その行動が恩着せがましい言葉や、上から目線の言葉と共に行われたのではなく、サラッと、さりげなく、あたたかかったからこそ、救われたし、深い感謝の気持ちを抱いて来ました。

 言葉の持つ、強力な力、同じなら、人を殺す方じゃなくて、生かす方に使いたい!自戒を込めて思います(とは言いつつも、我が身を守らねばな事態になった時には、言葉の力で理不尽な相手をやっつける覚悟です💦)

・・・と書いているはなから、高級官僚がまた失言して撤回謝罪したみたいですね。昨今、選良であるはずの政治家や、エリートと呼ばれる立場の人が「ノブレス・オブリージュ」の真逆やら、舌害が甚だしいのは情けないですね。上が悪いと下も悪くなるのは、組織の習い。人の上に立つ人たちこそ、行動はもちろんの事、言葉の力を真剣に考えて欲しいです。

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