強風吹き荒れ、本日も在宅。本当に変な気候であります。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち
新井 紀子
東洋経済新報社
2018-02-02



 タイトルの教科書が読めない子どもたちはどこで出て来る?と思いながら、読んでいたのですが、数学的センスがない私は字面を追いながら、しばしば睡魔に襲われ、遅々として進まず、このまま読了できず返却かと思ったのですが、本日、何とかアップアップしながら終えました。

 そして分かった衝撃の事実! 読解力がないぢぶん💦
 いや、厳密に言うと分かっていました。

 昔から、少しでも数学的要素を盛り込まれた文章だと、思考停止してしまうのです。数学みが感じられない文章の場合、ほぼ正解だったのですが。

 というのが分かったのは後半の著者らが開発したリーディングスキルテスト(略称RST)の例題をいくつか説いてみて。

 そして、私同様、誤答してしまう人がかなりの割合でいる(ホッ!って本当はホッとしてはいけないのです)状況で、やれプログラミングだ、英語学習だなんて言ってられないでしょというのと、今の日本の受験向け勉強というのは、AIが得意とする丸暗記や例題を数多くこなす方法を取っていることが多く、AIが苦手とする微妙なところを判断した上での読解力を養っていない、これじゃ、AIに取って代わられるような仕事しか出来ない人間になってしまうらしいのです。
 
 もう一つ衝撃の事実は、もともと超有名進学校の試験に通る人たちは、そもそもの能力が高い子が選別されて来た訳で、その学校に進学したから、難関校に入れる訳ではないという事でした。

 子どもの読解力といろいろなものの相関関係で、唯一はっきりしているのは、貧富の差らしいです。あとはスマホをやり過ぎると、ちょっとまずいねという位で、読書量が関わるわけではないし、どうやら、中学時代には読解力は伸びるが、高校入学後にはほぼ伸びない。ただし、例外もあって、やむにやまれぬ事情(例えば冤罪となり、様々な勉強をした場合など)だと、大人になっても読解力が身に着くケースもあるという事。

 前半はAIが人に取って代わるという恐慌や、逆にAIによる夢のような世界を、著者らの研究に基づき、それはあり得ないと否定していて、やっと目を開いて読めた終盤で、今のまんまじゃヤバいぞと説いてるのです。

 一つ印象的だったフレーズは介護や保育と言った、絶対にAIでは出来ない事が不当に低く評価されているのは、男社会で、それらが女性が担ってきたからであるというほぼ知れ渡った事実と、それに対して、もうそんな世の中ではいられないという言葉でした。著者は優秀な研究者であるとはいえ、女性であることで、何らかの壁を感じられたことがあったのではないかとちらりと思いました。

 さて、続けて読んだのが




  最年長芥川賞受賞作品として話題を呼んだ作品ですが、のっけから主人公桃子さんの強烈な一人語りで始まります。

  レアに現れる娘、孫以外、ほぼほぼ独り語りなのですが、晩年を過ごす女性の頭の中には様々な豊かなイメージが溢れかえり、来し方を思い・・・

  こういう作品は若い頃はストーリーが動かないし、地味だしと思っていたのに、人生半ば過ぎてから、読めるようになりました。言葉の豊かさに感心し、また、どんな人でも、それそれが人生の主人公なのだと思えるようになった目で見ると、動きのなさげな日常のささやかな出来事に共感できたり、羨ましく思えたり。

  個人的には桃子さんが周囲の決めた縁談を振り切って、上京し、堂々と方言を話す美しい青年と出会い、故郷の山を別々の角度から見ていたという事から交際、家庭を持ち、その愛しい夫が早世してしまったという部分、お気の毒なようですが、彼と出会った人生を思い出し、彼を喪った後悔を思い・・そんな風に一人の人を大切にいとおしく思えるのは羨ましいです。

  さて、3冊目。

コンビニ人間
村田 沙耶香
文藝春秋
2016-07-27



  こちらも一人暮らしの女性の話。ただし、上述の桃子さんとは全く違うタイプ。

  平たく言うと、かなり変わった女性、安易に決めつけてはいけませんが、ちょっと発達障がいっぽい思考の持ち主で、子どもの頃、死んだ小鳥を公園で見つけて、母親に「食べようよ」と言ってぎょっとされたり、小学校のクラスメイトの喧嘩を止めるために、スコップで殴って周囲をドン引きさせたり・・・母親は学校に呼び出され、家族に迷惑をかけまいと、面倒に巻き込まれまいと、大学進学後、開店早々のコンビニでバイトを始め、以降、店長が何人も変わる中、ずっと同じ店でバイトを続けている36才の恵子さんが主人公。

  恵子さんは自分がどこか違うとはわかっているし、世間水準からは変な人にもかかわらず自分を慕ってくれている妹のアドバイスを受けて、何とか世間の求める36才女性像に近づくべくすり合わせて、コンビニ店員という場を得て暮らしているのだけど、そこへ、人格的にも容貌的にもどうよという年の近い青年が、人手不足ゆえ、アルバイトとして入店。

 コンビニ店長を軽蔑し、自分は起業すると言ったり、客にストーカー的な行為を働いたりの青年がクビになった後、学生時代の友人たちの家族ぐるみバーベキューで、結婚して子供を持つか、バリキャリとして働くかのどちらも選ばない事で、あれこれ言われて、面倒になり、クビになった青年に入籍を持ち掛けるという、とんでも展開。

  自分をはねのける世間に対してブツクサ文句を言い、恵子さんのヒモになる事で安住を得ようと言う青年より、恵子さんの方がより突き抜けていまして・・・

  自分はフツーだと思っている人たちが、異端を認めない、フツーじゃないと思っている人に対してどんなに残酷なふるまいをするのかがよ〜く分かります。バーベキューの場での、世間的に良い人たちであるはずの友人(といっても、妹のアドバイスに合わせて、何とか付き合っているレベルですが)の夫の訳知り顔のアドバイスは30代半ばにして、説教オヤジで、うわ何、この若年寄という感じです。

  しかし、読み手としての立場を離れ、世間に出たら、私も同じことを言ってしまいそう。以前、魅力的だなと思った、年下の独身女性に、つい「結婚は」と聞いてしまったことがあります。自分の中に魅力的な女性には彼氏がいるはず、だから結婚も・・・というステレオタイプが出来上がっているのだと気付きました(魅力的じゃなくても、結婚している女性は多々いますしね、ここにもひとり( ̄▽ ̄;))。

  はたからどう見られようと、恵子さんは決して不幸ではないと思うのです。理解不能なものを無理やり自分の側に引き寄せるか、抹殺しようとするか・・・そんな世の中の理不尽を感じた作品でした。


   おやおや、もはや嵐級の風です。 荒れませんように。

人気blogランキングへ