山から下りた翌日、近場で気軽な市民図書に行くと、内館牧子さんの『すぐ死ぬんだから』が新刊コーナーにあり、ほかの二、三冊と比べた結果(新刊は一度に一冊きりなのです)、借りて来ましたが、やっぱり面白くて、昨今、めっきり読書スピードが落ちるは、頭に入らない文章だと途中で放り投げるは、の身なのに、一気に読めました。

    そもそも同じ内館さんの作品で、映画化された『終わった人』も読んでいるのにストーリー根幹を忘れ果てているくらいなので、これも忘れちゃいそうですが、主人公は78歳のハナさん。若く見えるのが自慢のオサレなご婦人です。

   物語の語り手としての部分と、家族や仲間との会話の部分ではえらくギャップがあります。会話になるとハナさんは下町育ちのなかなかきっぷのいいご婦人で、語り手としての内心はかなりな毒舌家。

   しかし、その毒舌、心のうちにありながら、普通はなかなかそこまで言えない事が多くて、ズバズバぶりが気持ちいいです。

    ハナさんの容赦ない毒舌は、最初は主に、もう年だからと容貌に構わない同年代の男女に向かうのですが、化粧っ気なくて、安物のラクな服着て、リュック背負って、帽子かぶってる冴えない年配集団を虫呼ばわりする始末。

   ですが、読んでいて、まるで私のことを言われてるみたいでドキッとしましたよ(^◇^;)

    安物の服、リュック、帽子、肌断食してて、髪も染めてないですしねぇ。

    そういう手合いに限って、人は外見じゃない中身だ!と言うんだそうです。

    私自身は痛い若づくりは苦手だけど、年配の方のおしゃれは好きですよ。あ、自分も最早年配の方の範疇なんですがf^_^;

     息子の嫁が気に入らなくて舌戦気味になったり、同級会でやっかみを買ったり、と小さなトラブルはあっても、誠実で実直、ハナみたいなきれいな嫁は宝と手放しで褒めてくれる夫のことは過ぎた夫と思うくらい、幸せな78歳の真っ盛り。

    ところが………と、この先を書いてしまうとネタバレなので書けませんが、まぁ色々ありまして、ハナは毒舌のややイタい若づくりから、加齢を認める境地になっていくと言う次第で、ハナが基本的に健康で、頭の回転が速いというのはあるけれど、辛気臭くないストーリー展開でした。

   巷で老害という言葉を聞く事があり、特に組織については、若い人に禅譲すべきの声も聞きますが、そんな事も考えさせてくれるエンターテイメント小説でした。


   それにしても、ハナさん基準じゃ虫かぁ<ぢぶん(>人<;)