今、楽しみにしているドラマがNHKの金曜夜10時からの「トクサツガガガ」。

  主人公はお子様向きとみなされている特撮ドラマ(いわゆる戦隊ヒーローもの)にはまっているOL女子。 オタクあるあるが随所に盛り込まれていて、トクオタならずとも、多少なりともオタクっけのある人間には、そうだよ、そうだよと頷けるところがあるかと思いますし、そうではない方にはオタクの一端がわかるかと思います。

 そして、ドラマ中の特撮がなかなかのレベルです。テーマ曲なんぞも、いかにも戦隊ヒーローものだし、戦闘シーンもお約束にかなっているものと思われます。

 オタクであることを何とか隠そうとするヒロインが、やっとこ巡り合った同好の士は、電車内で知り合ったちょっと先輩女子と、塾通いの小学生。 そして、オタクであることがばれて、会社にいられなくなったつらい過去を持つ、感じ悪い中途入社社員と敵対するも、互いに理解しあい・・また見るからに怪しげなこわもてする男性の胸きゅんきゅんアニメ趣味もわかって、おともだちになっていくあたりも楽しめます。

 基本的にコミカルに描かれているのですが、私にズシンと来たのは、このドラマで描かれている母子関係。

 ヒロインの母は離婚後、いわゆる女手一つで彼女と兄を育てた苦労人。自らが女性としてしたいことを封印してがむしゃらに頑張った反動からか(最新話で登場の兄の分析)、娘には過剰に女の子らしさ、女の子ならを押し付けて、戦隊ものヒーローを好きであることを許しません。

 小学生だったヒロインに対しては、買ってきた人形を押し付けるくらいならまだしも、大事にしていた特撮ネタ入りの子ども向け雑誌を焼き芋のための焚火に使ってしまったり・・・

 学生時代以降、ヒロインは一人暮らしをはじめて、母親を寄せ付けずに、自室では思う存分トクオタライフを楽しんでいるのですが、合いかぎを手にした母はヒロインの聖域に強引に足を踏み入れてしまいます。

 自室にはもちろん、精神的な聖域まで。

 兄の入れ知恵で、まず母親を会食に誘い、そのまま自室ではなくて、実家へなだれ込むパターンをもくろんでいたヒロイン。思い切って会食の時に、自分の思いを何とか伝えようとし、一見理解を示してくれたかと思えた母親。

 しかし、母親は世間の常識に照らし合わせて「人前で話せないような恥ずかしい趣味」「仲間が結婚したりして離れていったら一人ぼっちになる」など脅した挙句、友だちやヒロインの世界を全否定。手も出します。

 ここで私ならしゅんとなって、母親に従っているでしょう。実際にそういう場面ありました。私は何らオタクではなかったのですが、かわいげがない、このままずっと一人きりで行く気なのか。あんたはキャリアウーマンになれるほど優秀じゃない(ごもっとも!)、結婚してかわいい赤ちゃんを産んで・・・うんたらかんたら・・・・∞

 ところが、このヒロイン「うるさい、ばばぁ」とかなんとか言って、お母さんを叩き返します。つおい!

 「あんたって子は親に手をあげるのか」とかなんとか言いながら、それまで気丈にふるまっていた母親は愕然。「もう親子とは思わない。かけてくれた教育費とかは何年かかっても返すから」と言い返すヒロイン。

 さすがに親に手をあげるってのはなんだよな、と思いましたが、長年にわたって、押さえつけられてきた思いをぶちまけてえらいぞ!と思った次第です。

 私くらいの世代って、親は戦時中苦労していた世代です。私たちより上の世代も然り、そしてさらに苦労されていることでしょう。ようやく戦争が終わった後にも物不足が続き、今みたいな便利家電が無い中、乳飲み子がいて、家電1個が月給を軽く越えなんて時代で、欲しいものがあっても我慢したりしてきたわけです。

 我慢を重ねてきた親を感じてきたから、私たち世代くらいって、親の願望をかなえてあげるが親孝行みたいなところがありました。

 成人式の振袖なんて本当は欲しくない、それくらいなら、海外旅行へ行く!と押し切れた人はごく一部でしょう(もちろん、きれいな着物うれしい!と素直に喜んで買ってもらった人も多数だったとは思いますが)。

  嫁入り箪笥なんて、場所取ってかさばるしいやだよと思いながら「お母さんの時代には、日本は物がなくて婚礼家具も買えなかった」とか「お姑さんに言われて、義理の妹のためにとお母さんの嫁入り箪笥は取られてしまった」なんて話を聞かされたら、新婚の家庭に並ぶそれを見て幸せな顔をするであろう母親のために、致し方なくかさばる婚礼家具を受け入れる・・・・

 その結果、今に至るまでモノ余りに悩まされているのは、時々ここでこぼしておりますが、周囲を見る限り、「苦労して来た親の言うこと」は私くらいの世代にはかなり重たい縛りになって来ました。

 このドラマのヒロインは、離婚して女手ひとつでというところで、同世代では格別に重たい母親という条件になっています。だからこそ、小学生時代の母親の理不尽な言動に耐えて来たのでしょう(ドラマ中、母親と戦隊ものの敵役キャラクターとがかぶっていて、それもまた笑えますが)。

 しかし、趣味の押し付けくらいは我慢しても、精神的世界に立ち入り、仲間を侮辱され、とうとう押さえつけてきたマグマ噴出!

 しつこいですが、相手が誰であろうとも、たたくのいかんよ、たたくのは。

 けど、ヒロインの気持ちは十分理解できます。


 重たい母親に縛り付けられている人、身近で見ています。その人、おめでたいことに縛られていることに気付けないほど縛られています。いわゆる重度マザコン男性です。女性だと、途中で目覚める率高いですが、異性である男性は、重たい母の呪縛を愛と確信してしまうようです。

 自分が母親の立場になってわかりましたが、あなたのためを思ってとか、言いながら、実は「自分が安心していたい」って部分が相当大きいと思います。

 いわく

 世間体の悪いことをされて、噂されたり、後ろ指さされるのいや(刑事事件の加害者なんかになってほしくないというレベルから、学校の成績が冴えないというレベルまで、ふり幅が極めて大きい事案ですが)

 危険なことをして心配させないで欲しい(海外の訳わからん仕事なんかしないで、から、遠方の学校に行かないで家から通ってほしい、遠くの公園に遊びに行かないで、などなど)


 てやんでぇ! うっせ〜!と言って、家を出て行った息子とて、多くは口と裏腹に、母親の思いをどこかで受けていて、バッサリ切ることが出来ないものですが、母親の思いをまんま受け入れて「いい子」「優等生」で来てしまった男性ほど、冒険はしない、無難を好む、生活自立が出来ない、優柔武断で判断は人任せ、後悔や愚痴が多い・・・などなど弊害が大きいのを見聞きしています。

 つまり、自分の人生ではなくて、母親が望んだ人生を生きていくわけでして・・・だから、いい年こいて、お子ちゃまなまんまで、まわりから疎んじられてしまうのですが・・・そういう子供を育てた母親は「孝行な子どもで良かった」なんて思ってたりします。そんな孝行な子ども、お母ちゃんが死んだあとに残されたら抜け殻だよ〜。

  それって、母親のエゴですよね。子どもの本当の幸せを考えているわけじゃなくて、自己チューを、愛情という名前の衣でくるんでいるだけです。もちろん、本当の愛情がみじんもないわけではありませんが。


 その意味では、このドラマのヒロインが、母親ぶった切って喚いたのは、自分の人生を自分の手中に収めるためにはまことに正しい行動だと思います。


 私は母親に死に別れたのが40前と、周囲の大半の人たちと比べてかなり早かったほうですが(もっと早くにお母さまと別れた方も二人ほどいますが)、その時は盛大に悲しかったし、元気な実家の母に子育てサポートをしてもらえる友人たちがうらやましくて仕方なかったけれど、今となってみれば、苦労したんだからという思いが強すぎる母親を背負わずに済んで良かったのかも・・・何しろ、今の年になるまで、それに気づかなかったくらいなんですから。

 お母ちゃんごめんね。

 恐らく私も「重たい母親」であるのは間違いないと思います。子どものことで「心配するのはいや」「安心したい」です。

 でも、そういうエゴイストな母親なんだということを認めて、過剰に子どもの人生を縛らないようにしたいと・・・・とりあえず元気な今は思います。過剰に、過剰に、縛らないで行きたいです(少しは縛ると言いたい ^^ゞ)。

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