いや、荒唐無稽というのではなくて、ロマンティックというべきか、ファンタジーというべきか。

 花粉がぶんぶん吹き飛んでいて、朝から目がかゆくて仕方ない中、出かけるかどうか、ずいぶんと迷ったのですが、笑いたい!の一心で映画を見に行くことにしました。

 TOHOシネマズ。au WALLETで支払いです。auユーザーが貯められるポイントでチャージしたので、自腹切りと言っても、鑑賞料金は財布から出てはおりません。

 という事で、まず一本目。翔んで埼玉
  昨夏、新潟に行ったときに「タダだぁ、うれしい」で立ち寄った新潟市マンガの家に展示されていたので、原作者の魔夜峰央先生は新潟産と存じ上げておりますが、埼玉県をめちゃくちゃにこきおろしているがゆえに、かえって愛を感じる内容になっています。

 ダさい玉と並んで東京への通行手形が必要なために陰謀を巡らせているのが千葉。この両雄に比べ影薄いのが、茨城、群馬で、さらに存在感薄いのが栃木。

 で、いやらしいのが神奈川県。東京の腰ぎんちゃく。

 神奈川県って、他地域に行くとすごく感じてしまうのですが、ちっこい面積に他県の県庁所在地級の市がどさどさあるのです。特に、山梨県と比べてしまうからそう思うのでしょうか。山梨県の県庁所在地の甲府市、現在だいたい19万人弱の人口だそうで、全国の都道府県庁所在地の中で最小人口だそうです。

 なもんで、川崎、横浜、最近、うらぶれ感ある横須賀だって「40万人を切っている」というレベルですからね〜。最近、住みよさをアピールしてブイブイ言わせてる藤沢、横須賀の人口抜きました・・・ってな調子。加えて、映画の中で、しきりと揶揄されている埼玉の弱点である海もあり、鎌倉だの江ノ島だの箱根という全国区の観光地も抱えて・・そりゃ、首都東京にはかなわないなれど、えらそ〜な訳だ。

 しかし、神奈川の代表が崎陽軒のシューマイでひょうちゃんというところに疑問を感じる向きもあることでしょう。横浜がでかい顔し過ぎている!

 というように、首都圏での己が県の位置をついつい確かめてしまうバカらしさが受けているのかどうか、いやらしい神奈川県の横浜市民は、本日がレディースデイという事もあって、しかし、男性も多く、上映室はかなりの賑わいをみせておりまして、券売機、時間間際は残席僅少の△が電光掲示板についておりましたわ。

 もちろん、私もそのいやらしい神奈川県でもとりわけいやらしい横浜市民として、余裕の笑みを浮かべながら埼玉と千葉の奮闘を楽しんでいたのです。

 しかし、二階堂ふみさんの少女漫画然とした少年っぷりと言い、あきらかに年取り過ぎだろうになぜかハマるGACKTさんの万能転校生といい、彼らが出会う学園といい、宝塚っぽさふんぷんとしている虚構からして笑えまして・・・その後はカオスな展開。

 しかし、埼玉県の皆様の懐の深さを感じるのは、この映画がウケてること、川口では通行手形型きっぷなど販売されているとかで、いじられるのは愛されていることと分かっておられる言動であります。

 きっと、本当は自信があるからなのよね〜・・・というのがわかる展開ですが、ネタバレになるので、やめときます。

 とにかく、あまりに荒唐無稽なめちゃめちゃぶり、楽しめました。

 1本見終えて、少々お休みの後、2本目。明日が終演というので、大好きな「メリー・ポピンズ」の続編にあたる「メリー・ポピンズ リターンズ」を見ました。

 昨今、ネタが尽きつつあるのか、往年の名作のリニューアルが目立つのが気になりますが、これもその1本。
 
 しかし、セットなどはメリー・ポピンズの時のを再現したのでしょうか。桜通りのジェーンとマイケルのおうちもそのままのようです。今は育ち切った二人。やもめとなって3人の子どもとお手伝いさんとゴチャゴチャな破産寸前ライフを送っているマイケル。お隣には相変わらず定時になると、大砲を鳴らす提督がお住まいだし。

 点灯夫(昔は、煙突掃除と訳文がついていたような?)のジャックは旧作のバートの弟子という事になっていて、子ども時代のジェーンとマイケルに向かって手を振っていたというつながりがあったという設定。
  
 ジュリー・アンドリュースに代わるメリーはエミリー・ブラント。てきぱきとしていて、原作のメリーのイメージには彼女のほうが近いかも。

 残念ながら、吹替版しかやっておらずなので、原曲がわからないけれど、めっけもんだったのは、お父さんとなったマイケルの吹替の谷原章介さんの歌が思いがけずうまい。地の声だけが吹替かなと思っていましたが、歌もご本人によるものらしくて、へたくそなアイドルなんかから比べたら、ずっとお上手。

 平原綾香さんの歌声は、低温が効いていて、高音が伸びやかなジュリーとは違うけれど、これはこれであり。エミリーのオリジナルはどうだったのでしょうかねぇ?

 アニメ併用の冒険は、旧作に比べると、冒険度が増しておりましたが、点灯夫たちのダンスは、屋根の上のダンスを思い出して懐かしい気持ちになりました。


 そして、最大に嬉しかったのは、ディック・バン・ダイクの元気な姿が見られたこと。旧作で特殊メイクで、銀行の狷介な老トップを演じていたのですが、御年90を越えて、あの時のイメージまんまで(あの時のトップは笑いながら大往生を遂げたので、その息子という設定ですが)ご登場。しかも、タップまで踏んでしまっているのがお見事。

 セントポール大寺院の前で鳩のえさを売っていたおばあさんをテーマとした歌のメロディが出てくるなど、旧作とつなぐ部分もありましたが、新しい歌がほとんど。

 ただ悲しいかな。私の感性が鈍磨したのでしょうか。それとも、本当に旧作のほうがすごすぎたのでしょうか。一度で口ずさみたくなるようなメロディーというのがありませんでした。

 小学校低学年の時、はじめて「サウンド・オブ・ミュージック」を見たとき、「エーデルワイス」や「ドレミの歌」は有名でしたが、一番心を打ったのは「私のお気に入り」で(だから、JR東海ツアーズのそうだ、京都へ行こうに引っ張られたのもあるかも💦)、初めて聞いて、速攻で「my favorite song」になりました。

 「メリー・ポピンズ」をちゃんと見たのは二十歳前後で、「チム・チム・チェリー(Chim Chim Cher-ee)」は有名だったから知っていたけれど、映画を見て初めて聞いた「2ペンスを鳩に(Feed the Birds (Tuppence a Bag))」とラストに流れる「凧をあげよう(Let's Go Fly a Kite)」は見終えてからもとても耳に残りました。

 ・・・ってのがなかった。

 でも、ディック・バン・ダイクが見られたからいいや。


 出際にぐずぐずしたけれど、出かけてよかったなぁと思いました。


 ただし、感性が鈍磨した以上に、同日2本の映画を見る体力がなくなっているのをひしひしと感じました。座りっぱなしって今や健康に悪いという事になっていますが、2本目を見ている間に、脚がどよ〜んとして、しんどかったです。

 映画を見終えて、速攻で電車に飛び乗って、帰宅。すっかり冷え込んだ洗濯物取り込んだり、生協の配達物の仕分けをしたり、動き回って、ふ〜!でした。

 映画館では腰が曲がっている年配の方や杖をついておられる方も少数ながらいらっしゃいましたが、年をとっても、楽しみに出かけるって大事よね。

 体力に合わせて、行ける間に、行きたいところには行くべし!と思った1日の終わりです。

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