近所の友人とジェーン・カンピオン監督、香り高き文芸作品、キーツの悲恋を描いた「ブライト・スター」を見ました。

何しろ暑い中なので出不精になりますが、シネマ・ジャック&ベティの会員のお誕生日無料券をいただいてるので、使い切らなくちゃ!(昨今の夏がすごい過ごしにくい日本、行ってナンボの優待だのギフトをいただく都度、真夏生まれは難儀だなぁ〜と、誕生日詐称をしたくなる思いです^^;)

弟の結核を貰ってしまい、僅か25歳という薄命の人だったジョン・キーツと彼と婚約したファニー・ブローンの物語です。

日本のジャンルで言ったら、実話ベースの時代劇という事になるのでしょうね。江戸時代に当たるのですが、衣裳がとても素敵。季節の変化を捉えた背景の風景も山紫水明のダイナミックさはないですが、穏やかで美しいです。

主人公、ファニーは縫い物が達者なおしゃれさん。キーツの親友であるブラウン(繊細なキーツとの対比上、いい人なんだろうけれど、がさつな人物のように描かれています)にはおしゃればかりに身をやつすはねっかえりと見られてるんでしょうと不満タラタラ。

ブラウン氏ががさつな分、ファニーはキーツに惹かれ・・・2人は婚約。でも、キーツは弟を奪った結核に蝕まれ、名声を上げる前に夭逝・・・という悲恋を描いているのですが、結構画面の切り替わりは早く、食後の睡魔時間ですが、目をしっかり開けて見られました。

ひとつには学生時代、最初に習ったのがキーツだった(ギリシャの古代の壺をテーマとした詩)というのが大きいでしょうね。な〜んにも頭の中に残らなかったお勉強なんですが、キーツの詩の音と言うのは、英語音痴の私にも美しい響きだなぁというのは分かりました。

夭逝の人と言うのは天才肌が多いですが、キーツもその一人だったのでしょう。

結核が第二次世界大戦まで今のガン以上に恐ろしい不治の病だったのがよく分かります(京都に眠る私の大叔父も粟粒結核で夭逝しました)。

当時の良家の子女は男性と二人切りになってはいけないので、都度都度弟と妹が同行するなど、今では考えられない習慣や、それでも恋する2人は監視を逃れ、また、見守るきょうだいも、薄々分かっていながらむしろ協力的であったり・・・そういう時代背景も分かりました。

ただし、テンポが早い分、いくつか謎が残ります。キーツを自分の下宿に置いてやれる余裕があったブラウン氏ってナニモノ? ファニーの家は可愛らしい妹と、小紳 士である弟、娘の前途を案じながら、2人の愛を見守ろうという優しいお母さんがいるのですが、お父さんの影が見えない。一体何をしているおうち?などな ど・・・・

妹役の少女と、弟役の少年がかわいかったですね。特に妹役はフェルメールの絵の中に出て来そうな欧州古典顔でありました。

ファニーが縫ったとされる洋服が当時として斬新なデザインであったり、細部が繊細だったり、服飾物映画として見ても楽しめます。


え〜、ちなみに本音を言うと、同所でファミリー向けに朝一番から上映されているきかんしゃトーマスも見たかったんです。でも、1日2本の元気がなくて・・・こちらはレンタルしますかねぇ。
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