今日は友人とホテルランチのあと、映画へ。

泣き喚く子をベビーカーに放置し続けて、居合わせた客のひんしゅくを買った挙げ句に、子どもに向かって怒鳴りつけ、帰り際に、ついつい見てしまった私たちに向けて「見るんじゃねえよ」と青木さやかばりの怒鳴り声を残し、尚も子どもの喚き声を聞かせていた、ドのつく非常識ネグレクト三人女(幼児ひとりに三人大人がいて、誰もあやさない、連れ出さない)がいて、もぉびっくりさせられましたが、映画を見たら、不愉快な思いなぞ、吹っ飛びました。

木漏れ日の家で、と言うポーランド映画。モノクロです。ヒロインは自分の最後の時が近づいているのがわかっている老婦人。フィラと言うかわいい犬と二人暮らしで、色々な思い出の染み付いたおんぼろ屋敷を守っています。

年に二度ばかり訪れると言う息子は母親の家を売りに出したいし、他にもこの家に目を付けている人はいます。

あちこち行けなくなった老婦人の密かな楽しみが双眼鏡を使っての近所観察。

隣接地には音楽教室を営むカップルがいて、出入りする子どもたちのへたくそな吹奏楽の練習や、ダンス風景などを、半ばうるさがりつつ楽しみ、何かの折に、若き日の自分や、かわいかった少年時代の息子の姿を思い出したりします。

死を意識し始めた彼女はある行動に出ます。それは欲得尽くの息子や可愛げのない孫娘にとっては意表をつく行動でした。


あまり詳しく書くとネタバレになるからやめておきましょう。

とにかく映像が美しい。どこを切り取ってもスチール写真として飾れそうです。

モノクロの力を感じます。

そして、ヒロインの老婦人が美しい。長年に渡り生きて来た知恵が有り、しかし、衰えも感じている心許なさ。毅然と哀感の双方を併せ持った美しさです。

愛犬フィラのかわいらしさも飛びっきり。動物好きの長男が見たら、飼いたい!と騒ぎそうです。

対しまして、息子も孫娘も、彼女の屋敷に目を付けた男たちも、み〜んなかわいくない! 特に孫娘の可愛げの無さは秀逸。

男児にはよくある太っちょで意地汚いキャラクターを、よくぞ演じてくれました!勇気が要ったでしょう。偉いぞと言う感じです。

友人曰わく、テレビで紹介していた中高年女性に人気の映画ってこれだわ、と言う事で、喜んで貰えた株主優待鑑賞でございました。

猛暑で大変な1日でしたが、映画館で過ごし、正解でした。