半年間続いたNHKの朝ドラが最終回を迎えた。なんちゅうか、なかなか辛気臭い場面のまんまズルズル引っ張った1週間であった。久方ぶりのヒロインの死(私の記憶では、老年に達さずに壮年または若年でヒロインが亡くなるのは、すごいむか〜しの朝ドラ「うず潮」しかないんだけど)である。
 前の期の「風のはるか」がご都合主義に楽天的でと言う批判があったというけれど、私から見ると、どうせフィクションなんだから、朝ドラっていうのは元気が出る結末じゃなくちゃいけないのだ。

 主人公の周りを涙ながらの家族が取り囲んで、いよいよご臨終、しかも若いのにってな設定は全然元気が出ないじゃない。しかし・・・

 実はこの設定、悲劇なんかじゃないのよね。世の中なめとる甘い結末だ、超おめでたいことにかけては「風のはるか」なんか目じゃないよとヒネ者の私は思う。

 だってさぁ、そりゃ、ヒロインが産み落とした赤ちゃんにとうとう触れることも出来なかったというのが悲劇といえば悲劇だけど、それ以外は、大好きな人と結婚できて、まだ若くてきれいなうちに、家族やおかみと慕う従業員やら、才能を取り上げてくれた師匠やら、喫茶店のマスターやら多数に惜しまれて、亡くなるわけでしょう。しかも、作品を残して。

 普通、作品を残して早世するなんていうと、貧乏で周りからも変人扱いされていたりで、死後何年(時には何十年)かして見直されるというパターンが圧倒的に多いんだよね〜。

 この後、生き続けていれば、恐らくヒロインは家業の不振やら、夫の浮気やら、子どもの非行やら事故やら、親族のいざこざやら、介護問題やら(そりゃ、ヒロインは愛する人のお母さんを看取りますが、あれは今一般に行われている高齢者の介護から思ったら、きれいごと過ぎるし)色々なもののどれか、あるいは複数に引っ掛かって、しんどい、悲しい、苦しい、面倒な思いをするというものでしょう。それをいいとこ取りで人生パッと終わってしまう結末なんて、あまりにも視聴者をなめてるっちゅうのです。ありえね〜って感じ。

 今日の結末を見て「ああ、ヒロインがかわいそう」と思えた人はよほど素直な人か、人生経験が乏しいか、あれはドラマだと割り切りの良い人としか思えない。そんな風に思ったのは私だけ?

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