bfed7775.JPG 先月末に実家から取って来た母の形見の中華鍋です。

父が実家にいる間はお守りみたいな気がして置いておきたかったのですが、今ならもう取って良いだろう、と思ったのです。

母が多分今の私より若い頃、テレビに出て来た普通の家の台所にあった中華鍋を見て「この家の奥さんは料理上手なはず」と言っていたのを思い出します。

「どうして分かるの?」と聞いたら「お鍋が使い込まれているから」との事。画面上の台所は生活臭たっぷりで、子どもの目には全然ステキでもきれいでもない。でもそういう見方もあるんだ、と印象深い一言でした。

で、すぐに気付いたのですが、画面上の鍋と母の鍋、つまり、この中華鍋やフライパンはいい勝負でした(笑)。

母は自分の事を結構料理上手だと思っていたはずだし、私も子ども心に認めていましたが、その母が言うんだから、テレビに出ていたオバチャンはもっと料理上手に違いない、と思ったのでした。

さて、主が使わなくなって15年程も放っておかれた鍋、スケールみたいに酸化した油の膜が出来ていました。

使う前に指をケガする位ゴシゴシすると、ポロポロ落ちるスケールもあり、所々ツルッとしたおろしたての時を想像させる面が出てきましたが、母が積み重ねた歳月も削り取ってしまっているようで、後は自然に任せる事にしました。

今、炒めものは殆どこの中華鍋で作っています。