お付き合いのある証券会社からのDM。厚みから言うと、なにやら売り込みのようです。

 開けてみたら、案の定でした。ネット信用取引のサービスのご案内。先ずはメリットが全面に出ています。最低保証金の低さ、対面より手数料が安い、そして収入印紙代が無料と表紙に目立つ文字。中開には信用取引が効果を発揮する「チャンス」が説明されていまして・・・

 でも、このDM、この手のものとしてはかなり良心的なほうでしょう。メリットをうたった説明と同じサイズ、もしくは若干大きめの文字で最後のページですけれど、サービスのリスク、株式のリスクや注意事項が書いてありました。

 私にとっては、株はあくまでも余裕資金で買うもので、いかに大幅な利益が見込めるとしても「借りて」までやりたくはないので、この話、最初っからないものと同じなんですが、世の中、こんな風に分かりやすい説明ばかりではありません。
 大体人が迷う時には、それを受けた場合の何らかのメリットに迷わされます。明らかに損すると分かっていて引っ掛かるのは、よほどの人情がらみの話があるか、ご本人が奇特な篤志家か・・・残念ながら、判断力を失っているかしか考えられませんが、フツーに判断力があるのに迷うのは、売り手側のビミョ〜な表現に引っ掛かるから。

 例えば、かなり単純な行動であるはずの、何か商品を買う時も「期間限定」「地域限定」「今なら◎%引き」「数量限定」等の言葉にメリットを感じてしまいます。今、買わないと?・・・と思うのですが、買って良いのは、それがきちんとしたものであるという大前提の上に、その商品なりサービスが絶対に必要で、品質が悪くならないうちに必ず使い切れて・・・ではないと、買ってはいけないと思うのです。

 こういう「買う」(買い手はお金を失う)=「売り手がお金を得る」(儲かる)という図式がはっきりしていれば良いのですが、こと、金融サービスに限っては、あたかも買い手が得をするように思えて来る事態や表現が多いので迷うんですね。

 例えば貯蓄。大体の場合、そのお金を預かった金融機関が儲かることになるのがルールですが(じゃないと、成立しませんから)、確かにサービスの買い手はお金を失うのではないですが、「今なら金利◎%」などの文字で得をすると思って申し込むと、手元で使いたい時に解約金を払ったり、手数料を払ったり・・・など等のマイナスになる事態が生じたりしますし、そうでなくても、預けてしまったことでの機会損失もありえる訳です。

 勿論、大概の人はそのあたりを考えて貯蓄しているわけですが、投資となると、さらにさらに・・・。

 これを見分ける簡単なやり方は、買い手である自分と、売り手である側の利益を見ればよいのです。(知人絡みのネットワークビジネスみたいなものには尚の事有効かも知れません)

 例えば、ネット信用取引の場合、自分は得をする事もあるかも知れませんが、注意事項に書いてあるような無限大の損をするリスクもある・・・が、サービスの売り手側は、どんな時でも必ず手数料収入を得ることが出来る・・・という図がハッキリします。売れば売るほど損をするものなど、売る訳がないのですから、本質が見えてきた段階で判断はつきやすいと思います。

 さて・・・再び分かりやすいモノに関してですが・・・買った後、嬉しい気持ちで、あるいは便利に、楽しく、快適に・・・・使えたら、骨董的価値でも帯びない限りは、一度でも使ったら古びて中古価格となってしまうモノたちですが、生活を豊かにしてくれる価値あるお買い物だったと言えますが、買った後、場所ふさぎで、使い勝手が悪くて・・・おまけに周囲への見得のために飼っていたりした日にゃ、ストレスでまたお買い物!ってな展開になりかねませんねぇ(笑)。

 この分岐点を見分ける目を持つのが、賢い生活者、節約の達人への一歩と言えそうです。(私もまだまだ修行中!)

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