この間、八ヶ岳からの帰り、地元FMを聞いていたら、映画の紹介をしていました。売れ筋のメジャー系ではなく、なかなかユニークな映画の紹介だなぁと思い「もしかして、これ、ジャック&ベティで上映じゃない?」と夫に言ったら、見事当たりでした。映画の題名はバックドロップ・クルディスタン

 専門学校の学生さんが卒業制作の課題として取り組んだという切り口からして面白く、クルド人難民一家を追うという重たいテーマではあるけれど、DJさんがインタビューした若い監督さん(彼はバイトしながら頑張ってるみたいで、ブログもあります)は「楽しんで見て貰いたい」と言っていて、肩に力を入れすぎていないコメントに好感が持てました。ロードムービー調の映画との事で、あまり身構えずに見られそうです。

 新聞の映画欄を見ると、公開が始まったばかり。そして、今日は水曜レディスデーではありませんか。
 こういう映画のお誘いを掛け易いのは、一緒にハウステンボスに行った友人です。駄目元でメールでお誘いしたら彼女も見てみたかったとの事で、即決まりでした。

 映画はベティで1本立て。カメラは渋谷区渋谷にある(つまり青山通りに面していますが)国連大学の前で座り込みをする一家とその支援者を映し出します。日本国が認めないのなら、国連に難民認定をしてもらおうと、暑い中、座り込みを行う一家。トルコでクルド人として迫害を受けてきたとのことです。

 紆余曲折を経て難民認定が下りたと思ったら、一家のお父さんと長男が入管での滞在延長届けが認められず強制退去となってしまいます。残された家族は支援者や弁護士のいる記者会見の場で泣き叫び悲しみます。が、彼らは第三国へ旅立つことが出来ました。(第三国ってどの国だろう?と当然ながら疑問が湧きます)

 映画チームはトルコへ向かい、一般的なトルコ人が「危ない、クルド人は皆マフィアだ」と断じる地域に移動し、再会したのは長男。お父さんは既に家族の下へと去った後。お父さんのお父さんやきょうだい達と和気藹々と過ごし、クルド人が人口の大部分を占める町で、クルドの中でも様々な考え方があるという事を淡々と写して行きます。

 監督がインタビューで言っていたように、何が正しい、誰が悪いというような断定的なものいいはなく、時々の疑問をぶつけはするものの、色々な立場の人たちの発言をそのまま写す抑えた表現なのが、かえってクルド人という人々の抱える難しさを語っていると思いました。

 最後に長男も移住許可が下りた第三国に同行するクルー。さて、その第三国とは?ヒント:あら〜、二男の修学旅行先立ったわ。

 2年の滞在で覚えた日本語で一生懸命闘争しようとする一家。時には汚い罵りの言葉になってしまったりはしますが、今度は移住先で英語を覚えようとする、その必死さ、特に向学心があるわけでもなく、仕事上必要でもなかったら、一般的な日本人にはあり得ない頑張りからは、他民族国家で暮らす人たちの厳しさが伝わって来ます。

 お父さんのお父さんは「あいつのせいでワシは年を取った」と言い、国外で生きる道を選んだ息子に対し、いささか批判的であります。クルド人でも「トルコに生まれて幸せ」という標語をそのまま信奉する人もいれば、密かに抑圧を語る人もいるし・・・
 
 自分の生まれた国に安心して済み続けることが出来ないって・・・

 ごく近い過去まで北海道のアイヌに対し土人法という法律で同化を強い、第二次世界大戦に敗れるまで、植民地化した朝鮮半島で創氏改名を強いた過去を持つ日本人としては、同化の名の下に独自の文化を手放すことを求める国のありように対し、一言では言えない思いを抱きました。

 トプカピ宮殿の宝物や、アヤ・ソフィア大寺院、トロイの木馬等、世界遺産や歴史的遺構は有名だけれど、なかなかトルコ人の生活にまで立ち入ったドキュメンタリーに接することがない日常を送る私たち。お時間がありましたら、一見の価値ありだと思いますよ。


 映画の後はランチ。10月26日で閉店してしまうというフォーク・デュオゆずの誕生の地、伊勢佐木町松坂屋のお好み食堂でひと時を過ごし、閉店セールのあれこれを冷やかして、楽しい1日を過ごしました。
(松坂屋の屋上でゆずへの思いを書いた短冊を結びつけるおみくじコーナーみたいな場所が出来上がっていました。ファン必見!?)

2008Aug20松坂屋エレベーター上時計


※画像は松坂屋のエレベーター上のレトロな指示板。これで階数表示するんですよ。懐かしいいい雰囲気です。こわさないで〜と言いたい。

人気blogランキングへ