お日様が顔を出し、初夏らしいお天気になりました。

シネマジャック&ベティで上映中の脱原発ドキュメンタリー、ミツバチの羽音と地球の回転が明後日までなので、見に行きました。

水曜レディースデーでもあり、結構な入りでした。

内容は山口県の瀬戸内海側の祝島の対岸に建設予定の中国電力の原子力発電所に対し、三十年以上に渡り反対運動を行っている住民側の生活を描くと共に、日本に比べて脱原発の進んだスウェーデンのエネルギー事情を紹介しています。

カメヤのパンを上映直前に食べたので、スウェーデンの部分で睡魔に襲われましたが、祝島の様子はしっかり見る事が出来ました。

この映画は東日本大震災、福島原発の事故の前に完成していて、その時点では国のエネルギー政策に基づき………と押し切られ、反対運動を行っている住民側が不利になりつつ有りましたが、埋め立て地区を決めるブイの設置を阻止しようと船団を組む住民側と「絶対に海を汚しません」と説得しようとする中国電力社員の対決場面は、まるで今回の原発事故の伏線みたいでした。

絶対絶対と言う程危ういものはない、と今我々は実感していますが、地に足の着いた生活をしている人々はもっと早くに欺瞞性に気付いていたようです。

捕りすぎになる網を使わず竿釣りの漁労を行っている初老の男性の「反対と言えばクビになる(中国電力の)社員は気の毒だ。それに比べて、自分は思い通りに言える」と言う意味合いの言葉も、相手をやみくもに悪役としてだけ解釈しておらず、狂信的かつ強引な反対運動とは一線を画しているのがわかり、印象的でした。


実際には島には推進派もいて、映画の冒頭でも示唆されていますが、人間関係が分断していたようです(父親が推進派で、推進する限り島には戻らんと言っていて、恐らく父亡き後に戻って来た男性も登場しました)。

推進派の言う高齢化で先のない島に雇用の場が確保出来るじゃないか、と言う説得も、今となっては説得力がなくなりました。

島の人たちの反対運動を続け、原発建築を阻止している間に、状況が変わるかも知れないから、と言う希望の灯、残念ながら最も悪い形で実現してしまいましたが、だからこそ、エネルギー政策の見直しが迫られている時期だと思います。

なかなか見応えがあり、考えさせられるタイムリーな作品でした。