横浜で二男の高校時代の関係でランチ。久しぶりにお会いする人が殆どで、少人数だからこその楽しい集まりでした。

その帰りにいただき物報告に掲載のそごう美術館で開催中の蕗谷虹児展に行きました。

蕗谷虹児と言えば、自身が作詞した歌、花嫁人形のイメージが強く、また、母が娘時代に人気があったと聞き、哀感を帯びたノスタルジックな画家と言うイメージでした。

が、美術展として、ごく若いころの習作から始まり、最晩年の画までが網羅されているのを見て、かなりイメージが変わりました。

一言で言ってしまえば、やはり天才ですね。
商業美術の仕事のし始めは、才能を買ってくれたと言う先輩画家の竹久夢二に似た画風ですが、ピアズリーを思わせるモノクロの細密な絵の美しさ。デザイン性の高さ。何と言っても人物たちがものすごくおしゃれなのです。

魅惑のモダニストと言うサブタイトルの付いた美術展ですが、本当にモダン。

うーん、モダンって、今や通常の会話には出て来ない死語に近い言葉だと思いますが、だんだん閉塞して行く時代にあって、軍事要請から戦時色の強い画も描かなくてはいけなかった虹児ですが、圧倒的に美しい画です。

戦後のきらきらしい漫画家やイラストレーターの仕事の先駆けでもありますね。そして詩作も行い、自身の見た目もなかなかおしゃれだったようです。

長野県諏訪郡富士見町に今も一棟だけ残る高原療養所で、祖母が結核で入院した年に夭折した夢二とは違い、虹児は天寿を全う出来たのは、生い立ちが厳しいだけにホッとしました。

思っていた以上に良い展覧会でした。