連日映画見て、酔狂なと言われそうですね。でも、実は2本観ようかと思ったのを1本にとどめたんですわ。

 今日観たのは、シネマ・ジャック&ベティでフランス映画「キリマンジャロの雪」。マルセイユに暮らす仲の良い夫婦。結婚30周年を迎える間際に、組合長の夫は自分もくじに組み入れて、見事に勤め先のリストラ要員として当選してしまいます。義弟からは自分を外せばよかったのにと言われるけれど、公正さを選んだ実直な夫。通いの介護職(ホームヘルパーですね)をしている妻は思いがけない夫の失職にも責めたりしません。

 子どもたちや妹夫婦は結婚記念パーティに特大のシュー積み上げケーキを用意したり、節約して、お金やガイド付きサファリツアーチケットを海賊の宝箱みたいなのに入れてプレゼント。

 ところが・・・
 何としたことか、妹夫婦とカードに興じていた夜に強盗が入り、プレゼントはもちろん、2組の夫婦はクレジットカードも取り上げられ、銃を突きつけられて暗証番号も言わされ、たちまち限度額までお金を引き出されてしまいます。縛りあげられて一夜を明かした妹は恐怖からPTSDに・・・。

 犯人は誰だ・・・と思っていたら、思いがけないことから割れます。くじ引きの結果、同時にリストラされた若い同僚だったのです。警察に訴え、犯人逮捕に結びつくのですが、彼が生活苦に陥っていて、共犯者にいいように使われていた事、子育ては放棄してしまった男狂いの母親のため、年下の弟たちの面倒を見て暮らしていた、などの事情が分かるにつれて、犯人憎しの気持ちが薄れて行く夫婦。
 
 放っておけない子どもたちのもとに、夫には仕事で遅くなると告げて通う妻。共犯者の家から出て来たサファリツアーのチケットの払い戻しを受けて、子どもたちの生活費に充てようと思う夫。

 酷い目にあっても善意を失わなず、信頼し合う夫婦の姿が描かれていて、とっても心があたたまりました。

 1960年代の大ヒットというキリマンジャロの雪や、クラシック音楽(誰の曲だったか・・・思い出せないのが情けないのですが、割と有名なメロディーです)のBGMがいい感じです。

 今年前半に見た「ル・アーブルの靴磨き」で、密入国したアフリカの少年をかばう男を追いながら、最後は見逃す人情味あふれる刑事を演じた俳優さんが、今度は実直で心温かい中年男性を演じています。

 おしゃれなイメージのフランスですが、映画の主要人物は決して、バリバリの美男美女やスタイリッシュな暮らしをしてる人じゃなくて、ド庶民。しかも、人生下り坂にかかったオッサンや、つましい暮らしの中でやりくりしているオバサンなどで、フランス語が全く分からないからというのもあるでしょうけれど(笑)、とてもナチュラルな感じです。とはいえ、日本のウサギ小屋暮らしから思えば、住居にはゆとりがあるし、ホームパーティを開いたり、心に豊かさがあるという暮らしぶりです。でも、失職した夫と、パートタイムワーカーの妻がするチラシ配りの仕事などは、日本の中高年と重なるものがありました。

 この映画の夫婦は文字通り、罪を憎んで人を憎まずで、大変心があたたかい人たち。気張らない、気取らない、庶民の良さ120%という素敵なご夫婦でした。最近の日本、かなりギスギスした感じですが、こういうあったかさが欲しいですね・・・って自分を棚にあげて思ってしまいます。


   実は2本目として、阿部サダヲさんが好きなので、我が家の近隣ではあと少しで終わってしまう「夢売るふたり」をどうかなと思ってたんですけど・・・夢をかなえるために結婚詐欺を働く夫婦というテーマが、キリマンジャロの雪と正反対みたいだし、かなりインパクトがあるらしいので、こりゃ、良い映画を見た余韻ぶち壊しになるかも知れない。それに、2時間半の長編はきついなと思って、残念ながら、本日の観賞は諦めたのです。


 本日もお昼ご飯時にビンゴな上映時間。なので、ネットでお安く買ったカロリーメイトにミネラルウォーター持参で、レディスデーの1000円のチケット代だけしか財布から出しませんでしたよ〜。

 ようやく涼しくなってホッとする日々です。異常気象は要らない。爽やかな秋になってほしいですね。

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