地元紙の論説員による辛口批評で割と好意的に書かれていた事、コテコテのローマカトリックの世界を覗きたいで「ローマ法王の休日」をシネマ・ジャック&ベティで観ました。
 
 おととい、別の映画を見に行くかどうしようかとメール連絡していた友人が「明日、見たいと思ってるけど」と言ったこの映画。渡りに船でした。

 映画は多分、実写を使ったと思われるローマ法王逝去(崩御というのかなぁ?)の場面から始まり、有名なコンクラーベになります。

 このあたり、どこまでが実写で、どこからが創作なのか、最初のうちは分からない位巧みに作られています。荘厳な雰囲気の中、聖歌と言うのでしょうか、聖人の名前を順々に歌いながら、コンクラーベに参加の枢機卿たちが階段を上って密室に入って行くのであります。
 
 しかし、既にこの段階で、聖人の名前が出尽くしてしまって、ちょっとお待ちをと先導の歌い手が詰まる場面がありまして、バチカンの儀式にほころびありかと思わされます。
 そして、法王を決める投票の場面。

 私はてっきりローマンカトリックの頂点を極める法王の地位は、みんななりたくて、なりたくて仕方ないものだと思っておりましたが、この映画に出てくる枢機卿たちは「神様、どうぞ私を選ばないで」と祈っています。

 で、1回目の投票ではバラけた票が、なぜか2回目では1回目の多数票を得た人と違う人物に集中し(ちょっといじめっぽい感じがしないでもないのですが)、ミッシェル・ピコリ演じるメルヴィルがご当選。

 バチカンの広場を埋め尽くす人たちが、今か今かと待っていた新法王選出、そして挨拶の瞬間・・・何としたことか、ぎゃ〜と叫んでしまったメルヴィル。

 バチカン内でのカウンセリング(朝ドラの舘社長チックなどっかいい加減さを秘めたインテリカセラピストを演じているのが監督さん自身です)ではいまいちなので、セラピストが「自分の次に優秀」「だけど幼児虐待を言い過ぎるから別れた」という元妻(あれ、カトリックって離婚出来るんだっけ?)のもとへと足を運ぶ事になったメルヴィル。正体を明かせないために、職業を尋ねられ「役者」と答えます。

 ところが、帰途、トラックが通り過ぎた瞬間にメルヴィルはバチカン報道官の目の前から姿を消してしまいます。

 法王庁並びにバチカンは大混乱・・・・にならないように、報道官は太っちょの傭兵を法王の部屋に入れて、カーテンを揺らしたりして、枢機卿という仲間内すらだまして、なんとかごまかそうとします。退屈なあまりに賭けトランプをする枢機卿がいれば、セラピストのアイディアで中庭を整備して、地域別大バレーボール大会で大盛り上がりしたり・・・枢機卿たちも一皮剥けば、しかつめらしい聖職者と言うよりは、フツーの人たちなんですね。

 一方、メルヴィルはローマ市民の中に立ち混じり、泊まったホテルで突如おかしくなった役者を相手に、チェーホフの台詞を言いあううちに、若き日に役者になりたかった自分の事など思い出し・・・・・

 結局、メルヴィルは法王庁に戻り、バルコニーから、新法王を待ち続けて来た人たちに向けて挨拶する事を了承しますが・・・以下、ネタばれになるのでここまで。


 しっかし・・・まぁ・・・イルミナティによる陰謀に立ち向かう主人公の冒険を描いた「天使と悪魔」では、コンクラーベの法王候補が次々惨殺されるという場面があり、バチカンがたいそう怒ったと言いますが、この映画の「失踪」というレベルでは、お怒りになっておられないようでございます。

 何かにつけて思い出すのは、「悪魔の詩」というイスラムを冒涜していると言われた作品を翻訳をしただけで筑波大の先生が何者かに殺されてしまって、迷宮入りした過激なイスラム教の反応(つい先ごろも、アメリカ大使が殺害されるような冒涜事件がありました)。それに比べると、キリスト教はおおらかと言いますか、寛容と言いますか・・・まぁ、大河ドラマなぞ見ておりますと、散々な描かれ方をしている皇室の人々や、やたら好戦的な僧侶などなどを過去の歴史と割り切れるのかも知れないけれど・・・日本の皇室や仏教界も寛容だなぁとは思いますが。

 新聞の映画評では「賛否が分かれるラスト」とありましたが、恐らくは、たいがいの日本人好みの「予定調和」的な終わり方ではないですね。

 映画のサイトを見ると、当然ながらバチカンでは撮影できない(やはり冒頭の葬儀場面は実際の法王の葬儀場面を使っていたそうです)ものの、数々の歴史的建造物でロケしているそうで、昔は欧米に憧れていたのに、今やあっさりの「和」を好むようになった昨今の私からすると、バター・クリームこってりな西洋キリスト教文化の濃厚さがよく現れていて、異文化の物見遊山感覚で楽しめました。

 さ〜て、映画の後は、関内付近で用事があったという友人が先に席を確保してくれていて、ジャック&ベティから徒歩数分のエルミタージュでランチです。1200円で、素敵な前菜がついて

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 パスタはどっさりことモッツァレラチーズとトマトが入っていて、ボリューム十分

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 食後にはデザートと飲み物。

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 私、年会費2000円なり〜を払ってジャック&ベティのメンバーになっているので、今年の末までは1ドリンクフリーという特典もありまして、ひとりでサングリアをいただいちゃって、いい気分♪

 余談ながら年会費2000円払っても、お誕生月と更新時に無料券をくれるので、実質的にはかかる費用は最初の入会時の1000円分だけって感じかな。それで毎月、上映予定やら手づくり感あふれるミニミニ新聞を送ってもらえるので、見たい作品を見落とさずに済む(って、それで足を運んでもらおうと言うのが先方の意図でもあるのですが)ので、ジャック&ベティ圏にお住まいの映画好きさんならば、入って損はないよ〜♪・・・・と勝手に宣伝でした。(^^ゞ

 ゆっくりおしゃべりして、その後、少々伊勢ブラ。しょっちゅうこのあたりをほっついている私と違い、先着の友人は実に久しぶりの伊勢佐木町だそうで「店が全く変わっちゃってる」と驚いていました。伊勢佐木町の新大久保化と言いますか、東アジア系外国人率が高いエリアです。子どもの頃は有隣堂本店地下のグリルで、初めてクレープシュゼットなるものを食べさせてもらって、そのおしゃれさ、おいしさに「うわ〜、ハイソな街だ」と思った伊勢佐木町、今やド庶民の街で、いい意味でも悪い意味でも安いです。そして、チェーン店などどこにでもあるような店も多いのです。

 そんな中、ジャック&ベティとか、エルミタージュは個性的だったり、おしゃれだったり。あと珈琲のまめやとか、浜志”まんみたいなオンリーな店、昔からの店なんぞもあって、昔の上品おしゃれはほぼ絶滅してしまったのでしょうけれど、捨てがたい味わいはありますね。

 各人、帰る方向がばらばらなので、伊勢佐木町モールで解散!

 今日も楽しい1日でございました。

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