NHKの夜の「探検バクモン」で東京国立博物館(通称東博)をやっていましたが、偶然にも、本日のお出かけ先は上野でございました。

 もともとは新聞屋さんがくれたエル・グレコのチケットがあったから。だけど、私の本命は円空仏でございまして、エル・グレコに引っ張られて、友人が付き合ってくれたのでした。

 正直な思いを申しますと、エル・グレコ展会場の東京都美術館はあまり好きではありませんでした。どうも貸しギャラリー感があります。非常に話題に富む作品展をやるのは良いのですが、めっちゃ混む、館内に入ると、どうも見づらい。
 
 それは多分、以前、フェルメール展(去年のじゃないです)で、懲りたってのがあるでしょうね。フェルメールって小品だから、人が群れて見づらいったらありゃしなかった上、作品数が少ないので、大変失礼な言い方をしてしまえば、水増し展示の感じがありました。

 似た様な料金を払い、目玉の展示は非常に混んでも、企画展以外の常設展も充実している東博がお隣さんだから、比べると不利ってのはあるでしょうねぇ。
  なので、今回のエル・グレコもあまり期待していませんでしたが、今日の展示はなかなか充実していました。

  むか〜し倉敷の大原美術館でエル・グレコの作品を見て、ずいぶん昔の画家なのに色も鮮やかで、宗教画だけど、重々しすぎない、現代のイラスト風な雰囲気も持っているという印象を持っていました。そして、今回の展示の説明に描かれていて、やっぱりそうだったのかと思いましたが、全体が長細く、スマートな感じもありました。

 エル・グレコ、ベネチア共和国下だったギリシャ生まれで、イコン画家からスタートしたのですね。だから、細長い顔立ちとか、大きな目など、どこかイコンに通じるものがあるのだと初めて知りました。

 イコンやミニアチュール風の画もありましたが、そこから肖像画、宗教画となっていくと、同じ様式でずっと行っている感じです。作風がガラッと変わるという事はなかったようです。

 西洋絵画の静物とか肖像、風景画は、まま髑髏が現れるのは、そういうのが苦手な私としては困っちゃうんですけど(メメントモリ=死を忘れるなって事で、髑髏が使われるとどっかで読みました)、でも、それ以外は割と好きですし、興味深いのですが、宗教画で、特に殉教者を描いたものは、痛々しすぎて苦手、というか、私にはもはやホラー映画に近い恐怖を感じさせてくれるものもありました。

 エル・グレコの場合、磔刑のキリストを描いても、生々しく処刑されているという感じよりは、神に召される歓喜を描いていると言う意味合いの言葉が解説にありましたが、本当にそんな感じです。十字架に打ちつけられている手こそ描かれていますが、それ以外流血は無し。空に向かって昇天を待つという感じで、神秘的というより、いっそすがすがしい感じすらしました。

 建築というか、祭壇の設計もしていたというし、独特の美的理論も構築していた才人のようです。

 色合いが美しく、古典的な主題を描いていても、今のイラスト(美人画系)に通じるものがあって、戦国時代〜江戸はじめ位の作品には思えませんでした。

 会場はやっぱり混みまくりで、屋外にこそ並ばず済みましたが、館内で入場券もぎりまで結構待ちましたし、人がいっぱいで見やすいとは言い難かったですが、大作が多かったので、フェルメールの時程のストレスは感じませんでした。


 で、見終えて、定番の国際子ども図書館のカフェテリアでお安くランチ!と思ったら・・・な、なんと休館日です。(/_;)

 では、仕方ないから、どこぞのレストランに行くかと思ったのですが、その前にご近所の東京藝大に「ご自由にお入りください」という看板を見つけて入りこんだギャラリーで、学食の所在を聞いて、ちゃっかり入りこみました。

 しっかし・・・春休みに入ってるんですかね。どう見ても非学生だらけです。美術館見終えたあとのおじちゃん、おばちゃん、外国人観光客などなど。大盛況のためにご飯が終わってしまったとかで、おにぎりを持ってきておかずを取ってとの事でしたが、そのおにぎりも残部僅少という事で、天ぷらそばにしました。かき揚げいりの濃いおつゆのおそばで330円。友人と豆腐とカボチャ煮を一皿ずつ取って(@100円)シェアしました。

 いかにも学食学食したテーブルとイスでおっされ〜!とは言い難くはありましたが、完全禁煙になっているのは時代でしょう。昔の煙もくもくの学食を思うと、じっつにありがたい事です。キッチンでは何やら口論も聞こえて来ましたが(笑)、お安く上がりました。

 帰り、藝大ギャラリーでちょこっとだけお買いもの。版画風印刷の猫、ウサギの絵葉書、一筆箋(どんだけ絵葉書、一筆箋持ってるんだと思いつつ、ついついこういうのには弱いのです)をゲット。


 そして、いざ、東博へ!

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 円空展は、先に行った通訳ガイドの友人が言っていたように、こじんまりスペースでしたが、こちらもかなりの人気です。平成館で王 羲之展もやっていましたが、その流れで円空も観るという人が多かったのか、私たちのように円空だけという人もいたのかどうか。こちらはオバサマ観賞者が多いエル・グレコに比べ、男性率がぐっと高かったです。

 やはり骨太な円空はオジサンたち(退職シニア年齢の男性がほとんど)を惹きつけるものがあるのでしょうか。

 またまたフィギュアスケートに結びつけると、私は無良君を見ると円空を思い出します。骨太でどっしりした感じで存在感があります。

 去年の夏、高山に行った時、千光寺にも寄れたら良かったのですが、まちの博物館にほんの少しだけ円空仏が展示されていましたっけ。出来たら、お寺のお堂の中で拝観したい気持ちですが、多分、照明とかを考えると、博物館で一堂に会している作品を見る方がはっきりと見えるのでしょうね。

 7年に一度御開帳するという千光寺の小さな秘仏も、はじめてお厨子から出されて展示されていました。もったいなや、なむなむという感じです。

 友人も存外楽しんでくれてよかったです。

 常設展を見ようかと思いましたが、知らない間に疲れが溜まっていたようで、そこそこの手抜き観賞で、平成館のロビーにある鶴屋吉信のお菓子販売コーナーで、生菓子を買って、自販機のお茶を買って、お安くおやつ♪でした(残念ながらあんみつは売り切れ)。

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 どこまでもどこまでも安いで済ませた本日の上野のお山。

 ラッシュになると嫌なので、本当はもっと見たかったし、科学博物館のチョコレート展だって見たいところで、後ろ髪引かれる感じでしたが、5時ちょい過ぎには電車に乗って帰りました。

 今度は都内にお泊りして、上野を堪能したいぞ〜!

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