昨晩も震災を扱ったNHKのドラマ「いきたい、たすけたい」を見ましたが、今日はシネマ・ジャック&ベティで「家路」を見ました。

 福島原発事故のために、村を離れ、仮設住宅に暮らす、母親と息長男夫婦、そして、東京から戻って来て、無人の村で暮らし始めた二男を中心に、震災が、原発事故が影響を与えた人たちを描いています。

  監督はドキュメンタリー畑の人だそうですが、ドキュメンタリーとして撮るにはさわりがある、つまり、実在の人物をモデルとしているということなのでしょう(先日の新聞に監督の談話が載っていました)。

 松山ケンイチさんが二男、こんな場所嫌いだと言って去った村に戻ります。

 内野聖陽さんが長男。デリヘルで稼いでいるその妻が安藤さくらさん、なれない暮らしでいつしか認知症の兆しが見え始めている母親が田中裕子さん。

 他にも・・・例えが全部NHKになりますが、朝ドラの室井さん役の山中崇さんや、先ごろ放映の「紙の月」の無理解な夫を演じた光石研さん、先週、美食の街を訪問する旅モノに出演していた木曽のすぐき大使でもある田中哲司さんなどなど、芸達者な俳優さんたちが揃っている映画でした。
 支配人が上映前に「昨日が東日本大震災の起こった日ですが、こちらの映画、まだまだ上映していますから、ぜひ周囲の方にお勧めください」と挨拶されました。

 自らには何の落ち度も無いのに、住まいを離れざるを得なかった人たちの暮らしの不安定さが描かれ、一方で、どうして生まれ育った家から離れなくちゃいけないんだという頑張る人も(法律違反だと、警察官に責められます)描かれています。

 過去の記憶として、きょうだいの父親の選挙風景が出て来ます。もっと、要求をしなくてはと叫ぶ父。

 原発を受け入れざるを得なかった村の事情というのもうっすらと見えます。

 決して、声高に批判をしている訳ではない、ドキュメンタリーに近いタッチの作品ですが、そのナチュラルさが、かえって彼らの暮らしの厳しさを知らしめているように思います。

  実態が伴っているのか甚だ怪しいながら、景気浮揚の声につれて、震災のことが、だんだんに終戦記念日や敬老の日的な扱いになって来ている感がしますが、まだまだ復興の道は遠いののだと、この作品を見ると思わされます。

 大都市に済むマスが日本のすべてではない、むしろ、作中に描かれているような地方に暮らす人たちが日本の根幹であり、その人たちが苦労しているのを、うわべ華やかなことでやすやすと忘れてしまっていいのかと・・・・・

 特に、都市部に住む多くの人に見て欲しい作品だと思います。

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