本日は近所の友人(って昨日も会ったけど)を誘って、シネマベティに「ペコロスの母に会いに行く」を観に行きました。

 昨年に封切られ、キネマ旬報の昨年度のベスト1映画になっている作品なので、すでにご覧になった方や評判をご存知の方も多いのではと思いますが、団塊世代のバツイチ、つるつる頭の息子(その形がペコロスに似ている)と認知症になった母親の交感を描いた作品です。

 長崎市の傾斜地にある一軒家に暮らす母、息子、孫息子。息子がアバウトな仕事(ほとんどサボっているようなもの)、孫息子がアルバイトをしている間に、かかってくる振り込め詐欺電話の描き方がユーモラス。認知症の度合いが進みすぎていて、自分が受けた電話すら忘れてしまうので、電話の向こうで詐欺師が一生懸命騒いでいるのですが、赤木春恵さん演じるばあちゃんは受話器を戻さず、家の中をフラフラ歩く、その間に、詐欺師が名乗っていた孫息子本人が帰宅する始末。

 買っても買っても、いつの間にか家の中から消える下着が某所から大量に出てきたのがきっかけで、自宅で過ごすのは限界と、ペコロスはこじんまりしたグループホームに母親を入所させ、そこへ会いに行くのがタイトルの所以です。
 グループホームの主任さんが根岸季衣さん、いかにもベテランの手慣れた福祉関係者をうまく演じられてます。
ばあちゃんのもやもやになっている頭の中にしょっちゅう浮かび上がってくるのが過去の自分、亡くなった亭主や、ピカドンを浴びて、戦後は苦界に身を沈めることになった幼馴染。加えて、グループホームの仲間や、面会に来る家族を演じる役者さんたちもなかなか豪華メンバーであります。

 漫才の庄司照枝さんが、しゃきしゃきばあさんを演じていれば、佐々木すみ江さんは竹中直人さん演じる息子が分からず、怖い人が来たと騒ぐし、なんと、志茂田景樹先生が相変わらずのハデハデヘアーでご登場です。特に、ワタオニのお姑さんなど、時としてきつい事もあるしっかりした女性を長年演じておられた赤木春恵さんの、認知症そのものの演技、素晴らしいです。

  施設入所の母親が泣いて悲しむ場面や、息子である自分をもわからなくなっていく切なさなど、認知症ならではの重たい部分や、母親のたどってきた人生の過酷さを描いている部分もありますが、全体的にユーモラスで明るく描かれています。ペコロスの「ボケるとも、悪か事ばかりじゃなかかもしれん」という言葉に救われます。

 長崎市、傾斜地に張り付くように家が建っている風景は横須賀と似ています。そこへ中華街などのエキゾチックな風景があり、登場人物の長崎弁があったかいです。ラストのランタン祭りのシーンでは思わず涙があふれてしまいました。

 認知症、多かれ少なかれ、長寿であれば、いずれみんな通る道なんですよね〜。この映画を見ても思いましたが、抱え込まないで、専門家にお任せしたり、協力し合うって大事だと思います。

 この映画を見て、数少ない突っ込みどころは、ペコロスがライブさせてもらう喫茶店のマスターとの会話。彼も認知症の母親がいて、施設入所させるというペコロスに、親を捨てる気かと言葉を投げて、ペコロスが、あんたんところは嫁さんがいるから(家で見られるんだろ)と言ったのはちょっと気になりましたね〜。

 「主婦がいたら、介護は丸抱えできるはず」という思い込みに、どれだけの女性がつらい思いをし、下手したら、看取っている側より先だったりして来たのか・・・そこを考えての介護保険だったはずが、運用方法がいまいちで(中には介護保険を利用し、やりたい放題で利益追求した組織もあったようです)、財源不足となり、また家庭で介護をという流れになっているのは気になります。

 しかし、全体を見れば、とてもいい映画だと思います。親を送った人は、自分も抱えた切なさや、後悔をやさしく「いいんだってば」と言ってもらってるような気持になれるかもしれないし、今、認知症の親御さんと相対している人たちは、ちょっとホッと出来るかも知れないですね。

 
 映画は12時20分からだったので、カメヤのパンを買って開場前に館内で食べちゃいまして、映画の後は、友人お勧めの横浜の甘納豆の名店というお店を訪ねて、スマホもどきの地図を見ながら歩きました。

 おもやというお店、比較的新しい低層ビルが立ち並ぶ道路沿いで、そこだけぽっかりと昭和レトロな店構えで、量り売りしてくれます。3時くらいにたどり着いたので、かなり売り切れていて、それでも、青えんどう、小豆、とら豆の3種類を合計300グラム購入しました。

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 そこから少々歩いて、南太田駅前の昔懐かしい感じの喫茶店でブレンド飲んで一休み。駅前と言えば、チェーンのコーヒーショップばかりが目立つ昨今、個人のお店がちゃんとある、横浜の下町っぽい雰囲気がいいなぁ〜と思いました。

 帰宅して、昼ご飯が軽かったのもあって、甘納豆を食べたら・・・ん〜まい。止まらない、止まらない。

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 ところで、今日はTwitterで台湾の大学生が国会へ押しかけて気勢を上げたというのが流れていました。中国との協定で中小企業が危ういということだそうです。四大陸で訪問し、すっかり台湾びいきになったフィギュアスケートファンの間でも、この情報、リツイートされてました。それを思うと、TPPに対して、日本はおとなしいですね〜。そういう自分も国会へ押しかける元気なぞないのですが・・・・