また暑さが戻って来つつあり、家を出るのに、よいしょ!という感じで腰が重たくなるので、友人に声をかけましたが、ことごとく振られ、それでも、見たいよ、で一人で見て来ました。マダム・イン・ニューヨーク。

 ジャック&ベティのジャックで上映ですが、久しぶりに、激混みです。レディースデーであるのと、たぶん、口コミで評判がいいのもあるのでしょう。既に見た4人の友人が良かったと言ってますし・・・

 ジャック&ベティでは60歳を越えたら、いつでも1000円。観客の中にはその条件を満たしておられる方も結構いらっしゃったようなのですが・・・もしかして、初めて来られたのかな? 私はまだ残念ながら、あと少し時間が必要ですが、シニア割効くようになったら、絶対に、こんな混む日に来ないぞ〜というほどの混み方で、満席で、周囲に簡易な椅子を並べている状態でした。
 さて、映画そのものは、インドの中流家庭の、実に美しく可憐な奥様が、英語が満足に使えないことから、家族の中で、軽く見られているのが、姪の結婚で、NYに行き、思い立って、英会話学校に通って、新しい自分を見つけるというストーリーです(なんちゅう、ブツ切れ文章(^^ゞ)。

 たぶん、日本と同様か、あるいはそれ以上に、男尊女卑があるのが感じられるインドで、なまじ中流であるがゆえに、専業主婦として、家族のために美味しい料理が出来ていればいいと言われているヒロイン、シャシ。チラシにはごくふつうの主婦と書いてありますが、いや〜、こんな美しくて料理上手な彼女がフツーの主婦なワケないのだよと、いきなりツッコんじゃうほど、きれいな女優さんです。驚いたことに50歳なんだそうです。

 「きっとうまく行く」の主役を演じた俳優さんが40代半ばと聞いて、ひえ〜〜〜∞でしたが、インドには何か秘密があるのでしょうか。この二人とも、いわゆる痛い若作りではなくて、本当に自然に、学生役や、小さい子供のいるお母さん役を演じておられますから。

 おっと、脱線。

 この映画を見ていて、思い出したのは、今年の初めにNHKで放映していた「紙の月」。原田知世さんが演じた可憐な奥様が、業務上横領を重ねて、年下の青年に貢ぎ、あげく、海外逃亡というストーリーで、あくまでも、良妻賢母であろうとするシャシとは根本的には違うのですが、夫のタイプがよく似てるの。

 ともに、自分が言ってる言葉が妻をグサグサっと傷つけているとは夢にも思わない。それぞれが、無意識に、妻は自分の持ち物的な扱いをして、自分より劣った存在であり、「たかが」な存在であることを、何かしらの言動で、突きつけているのです。シャシは得意なお菓子作りで、ちょっとしたビジネスをするけれど、旦那さんは「そんなのやめろ」的な言動。紙の月で、銀行務めを始めた妻に「片手間だろう」と陰に陽に言う旦那さんと、同じですわな。

 双方、おそらく、はたから見たら善良ないい旦那さんで、自分も「妻を何不自由なく暮らさせている」(というところからして、そもそも上から目線なのだが)「外に女がいるわけじゃないんだし」・・などなどと、自身をいい旦那だと信じ切っているところも同じ。

 男性の恐るべき鈍感さが両方の作品に共通していますが、破滅型の紙の月とは違って、マダム・イン・ニューヨークは、明るい展開です。

 もうひとつ見ていて思ったのは、シャシの英語は私の英語とおっつこっつで、ほっとするのですが、インドの中流家庭では、英語が話せないというのは、家族の中で浮いてしまうという事。日本では、英語が使えたら、すご〜い、拍手!ですが、別に私レベルで(むか〜し、OL時代にTOFELを受けさせられたら、サバイバルユーズオンリーというすさまじい点数だったワタシ。多少なりとも英語を使う必要があったあの時で低空飛行な点数だったんだから、今は更にどうなんだ(~_~;)・・・・という状態でして(^^ゞ)日常的に家族からバカにされるようなことはないという事。これは、きっつい植民地支配をされた国の、ある意味、悲しい事情とも言えます。

 NYの語学学校のクラスメイトたちも似たり寄ったりの語学力。小学校から英語をやらないと使い物にならないとか、中学校から6年以上英語を習っても、使い物にならないなどなど、自己嫌悪に陥る日本人が多いのですが、外国語を使わないで暮らせるってありがたい事でもあるのですよね。

 クラスメイトたちも、それぞれの事情を抱えていて、彼らとシャシの友情、また、シャシに思いを寄せるフランス人シェフとの交流などが描かれます。

 一方で、心無い言葉で母親を傷つける娘や、かわいいいたずら坊主の息子、そして、同居の旦那さんのお母さん(この人がすごくいい人で、シャシをメンタルにもサポートしてくれるあたたかい人)、NYのシャシの姉や二人の娘など、様々な人物も描かれています。特にシャシの密かな英会話学校通いを助けてくれる下の姪はいい子だわ〜。

 シャシの渡米時の飛行機の中や、NYの地下鉄でのエピソードなど、ちょっとしたあたたかい出会いも丁寧に描かれていました。

 インド映画らしい、歌と踊りで賑やかに・・・あったかく〆てくれまして、とても、後味のいい映画でした。

 サリーって、きれいだなぁ。案外と活動的に動けるみたいだし・・・なんて事も思いました。

 最近は、インド映画がかなり好きになっています。近日上映のラインアップに「めぐり逢わせのお弁当箱」があり、こちらも、ぜひ見たいと思っています(9月上映予定というから、涼しくなっていて欲しいですね〜)。

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