今日は夕方になって、起訴御嶽山の噴火というニュースにビックリ。
 
  火山灰は八ヶ岳界隈にも流れてきているようです。今年の大雪、そして天候不順で、品種によって作物の出来が良くないようですが、今回の噴火で大きな影響が出ないようにと祈ります。そして、もちろん、出来るだけ人的被害の少ない事をも祈っております。

 今日は「紙つなげ!」を市民図書で借りて、読み終えました。




 
 石巻にある日本製紙石巻工場の甚大な津波被害の様子と、復興を描いたノンフィクションで、著者は「エンジェルフライト」をかいた佐々涼子さんです。



 石巻の被災のすさまじさは、震災直後のテレビ報道で見ていましたが、現場にいた方たちの言葉はより一層重いです。公的使命も帯びた大企業として、被災者の支援にあたる一方で、助けられない人たちもいたし、疑心暗鬼に陥った人たちに隠匿などのうわさを立てられたり、あるいは、バットで自販機や店舗を荒らしている不届きものの姿を見かけたり・・・更に、中には震災に乗じて、一儲けをしたに過ぎない支援団体もあった事など、きれいごとではない部分が描かれています。

 一方で、というより、こちらがメインなのですが、がれきやゴミに埋もれ、時には亡くなった方の遺体すら発見された機械設備、工場敷地を淡々と整備していく人たちの尽力も描かれています。

 著者自身や編集者すらが、出版に携わりながら、書籍雑誌の紙がどうやってつくられるのか、どんな人たちによってつくられるのか全く知らなかったし、もちろん、私も知らなかったのですが、書籍用紙の4割はこの工場で生産されているのだそうです。

 一見、どうってこともないように見える紙。実は様々な工夫が凝らされていて、漫画雑誌用にはボリュームが出て、しかし軽くてという紙が使われるし、各文庫ごとに微妙に色合いが違ったり、無名の人たちの研鑽、努力の積み重ねで、書籍の手触りがあるのだと分かりました。

 電子書籍がいくら盛んになっても、私は、初めて「ナルニア国ものがたり」を買ってもらった時の、独特の紙の匂い、手触りを忘れません。ほんのりいい匂いのしたあの本との出会いは、上質なものとは何かを教えてくれたと思います。その上質さには、製紙工場の方たちの努力、そして、出版社の編集担当や、装丁者によって支えられているのだと知りました。

 この本には、どの部分が石巻工場のどの機械で生産された紙なのかが載っていますし、巻末には被災直後の向上と、がれき撤去後のカラー写真も載っています。

 ともすれば、現実の厳しさに萎縮しそうになる中、ともかく、自分たちから復興して、町を元気にしたいという思いが、工場関係者や、幹部社員らを勇気づけ、無謀にも思えた計画を遂行した次第が描かれていて、一気に読まされました。

 まだまだ爪痕が深すぎる東日本大震災ですが、こういう地道な活動が、積み重なって行きますようにと思いました。


 それにしても・・・・ここ数年の日本、1000年に一度や、100年に一度、未曽有のと言ったレベルの災害があまりに多くて心配です。もし、これらが何かの警告だとしたら、今、打てる手を打つ、あるいは、やってはいけない事を今のうちにストップしなくてはいけないのだろなぁと思います。

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