ブラック企業と言えば、名ばかり管理職に対して残業代を払わない、めちゃくちゃにシフトを入れる、行く先は過労死や心の病などなど、まるで現代の蟹工船みたいな話が聞こえてきますが、最近、友人の話を聞いて、考えさせられました。

 大学生の就活で憧れられるあの分野でもまかり通っているらしい。

 はい、うちの長男も見事振られまして、面接まで行ったのに残念!と言ってましたけど、友人の話を聞くと、それで良かったのかもと思わざるを得ません。

 それは・・・
 旅行業界ですわ。

 勿論、すべての旅行関係の企業がブラックではない、むしろそうではない方が多いのだと信じていますが、長男が振られたあの会社、友人のお嬢さんが内定貰って「いいわね〜」と羨ましく思ったあの会社。世間的にはかなり知名度が高い会社で、殆どの皆さんが耳目にした事があるかと思います。

 が・・・

 長男が振られたところは・・・通訳ガイドの友人の話では、社員さんがもうバテバテで可哀想な程なんだそうです。通訳ガイドという取得の難しい資格を持つ彼女をもってしても、旅行にあたっては随分ヘビーな思いを、それも京都でする事が多いらしいですが(彼女が京都大嫌い!と公言してはばからないような、一般客に向けるのとは別の面を見せてくれるようですわ(^^;))、旅行会社の社員さんは更にハードな思いを、顧客、現場、会社に挟まれてするらしいです。円形脱毛症だか、要するにメンタル系の発露の状態を呈している男性若手を見たとか言ってました。

 他の話もしながらなので、細部がちょっといい加減なのはご容赦いただきたいのですが、彼女の言葉の端々から漂う、可哀想なくらいの大変さはものすごく印象的で、長男がその会社に振られた事に胸をなでおろした位です。勿論、たまたま運の悪い部署に配属という可能性もありますが、ネット上の就職関係の話題で、その会社の若年退職率の高さが示されていたのを見たことがありますので、基本的にいまどきの若いもんにはきつい職場なんだろうとは思います。

 今季の深夜枠で渡辺直美さん初主演の、訳ありで地下倉庫を拠点とするカリスマ旅行会社員の活躍ストーリー「五つ星ツーリスト」が放映されていますが、ああいう風に、面白おかしく、あるいは感動的に解決する話ばかりじゃないですからね〜。

 そして、近所の友人のお嬢さんの場合・・・・もともとすらりとした娘さんでしたが、な、なんとストレスから体重が30キロ台にまで落ちたとか(をいをい、160センチ越えで30キロ台ですぜ。危険域)。毎朝ため息をついて出かける日々だったそうです。

 新人研修で親しくなった同期は、研修を経るごとに減って行ったそうです。入社後半年も経つと、仲良しになった人たちは全部姿を消していたとか。大量採用大量退職の典型的なケース。(^^;)

 お客という立場で気楽に見ている限りは勢いの感じられる企業ですが、いい意味で若々しいのではなく、社内体制に厚みがなく、酸いも甘いも噛み分けるベテランの下支えがないらしいのです。人間関係でもサポートしてくれる存在がない。しかも、表立ってはいないものの実態はノルマもあるらしく・・・とにかく、精神的に参ってしまったのだとか。

 幸いにも、彼女は転職先を見つけたようで、心を病む前にやめられるようです。幼いころから知っているいいお嬢さんなのでホッとしました。

 たまたま自分の大好きな旅行関係の業界の裏面を見てしまいましたが、勿論、ほかの業界でもこの手の話はあるかとは思います。

 私の若い頃とは違って、大手、人気だから、(おおむね)安心して就職できる世の中ではないのだなぁと思います。


 名前やイメージで選ばず、その業界なり企業なりに就職した人に、直接お話を聞けたら(それも一人だけではなく、出来るだけ複数が望ましいでしょうね)、早期退職・離職は減るかも知れないですね。

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