時ならぬ暖かさだったという昨日から一気に気温が下がり、ためしてガッテンでやっていた天気痛が起きてしまった今朝。外出か、在宅かとうだうだ思いましたが、友人が車に乗せてくれたので、図書館に行く事が出来て、そのついでだ!で映画を見ることにしました。

 1本目。染谷将太さん主演の「さよなら歌舞伎町」。

 染谷さんって、ただいま放映中の寄生獣や、昨年放映のウッドジョブのような大手配給系も出れば、昨年末に見たドライブイン蒲生のような作品も出たり、本当に引っ張りだこですね。

 この作品は地元紙ではかなり褒めちぎっていましたが、主人公が務める歌舞伎町のラブホテルで起こる出来事を多方面から描いた作品。

 かなりエロかったり、エグかったりする描写もあるのですが、見終えた感じが決してドロドロしていないのは、だらしなかったり、弱かったり、嘘つきだったり、ズルかったりして見える人たちの生き方に対して、断罪的な描き方をするのではなく、ある種の愛おしさを感じさせてくれる描き方をしているからかと思います。

 のっけから主人公の妹はAV撮影でホテルに乗り込み、思いがけない兄妹ご対面となるし、韓国に帰国間際の出稼ぎデリヘル嬢と彼氏がいたり、時効待ちの犯罪者カップルがいたり、風俗スカウトと家出娘がいたり、不倫警察官カップルがいたり・・・ホテルの外には立ちんぼうという街娼がいたり・・・。そしてメジャーデビューを狙うシンガーの主人公の彼女(前田敦子さん演)はプロデューサーと共に枕営業でホテルに現れる・・・・が、そもそも、主人公自体が、グランパシフィックホテルに勤めていると嘘を言っているのです。
 合間合間にヘイトスピーチの場面や、震災後の東京の無関心や、津波でさらわれてしまった彼氏の話など、現代の世相が描かれていて、小さな棘がささります。

 ぱっと見いい加減だったり、やばい事していたりしても、心の奥底には人としての矜持や優しさがある。時にやってる事とは裏腹な滑稽な程まじめな部分があったり、人間って、善悪という単純な物差しでは計りきれない部分があるんだなと思わせてくれます。

 いろいろな人物とエピソードがてんこ盛りですが、展開にリズムがあって、飽きたり、眠たくなる事もなく、無事に見終えました。

 そして、一休みして、韓国映画の「自由が丘で」も見ました。

 加瀬亮さん主演で、尊敬する恋人を追って韓国に来た、全然韓国語が話せない日本人男性モリという設定。モリさんの言葉はほぼ全編英語で、知り合った韓国の人々との会話も英語。 彼女の住居のそばのゲストハウスに泊まり、自由が丘という名前のカフェに出入りし、カフェオーナーの女性と同衾してみたり、ゲストハウスの女将や文無しの甥っこと仲良くなったり・・・

 こちらは「さよなら歌舞伎町」で描かれた出稼ぎ韓国人カップルの不安定な世界ではなく、ヘイトスピーチのとがった雰囲気も皆無で、ゆるゆると日が過ぎて行くのです。

 日本人は清潔で礼儀正しくて大好きというゲストハウスの女将、日本人に対して親愛の情を見せてくれる人々を見ていると・・・最近、日本にはびこっている嫌韓論って、何なんだろうという気持ちになって来ます。

 一つ気になるのは、出演者、ほぼ全員が喫煙するシーンがある事で、昨今の、分煙、完全禁煙に慣れている身には、大変違和感がありましたが、喫煙は健康に対して良くないという意識が、日本ほど染みわたっていないのかも知れません。最近の日本映画にありがちな、喫煙=下層階級というイメージを喚起させてしまうガツガツ吸いでははなく、のんびりくゆらすという感じなので、悪くはないのかもと思いましたけれどね。

 毛色の違った2作品を見ると、さすがに伊勢佐木町を歩き回る元気はなくなっておりまして、日が長くなったなぁと実感しながら帰途につきました。

 アジアン映画2本立て、楽しうございました。

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