武相荘、本当は明日行く予定でしたが、気象情報では冷え込むは、かなり降るは、で運転してくれる友人から急きょ電話があり、ばたばたと切り替えました。

 白洲次郎と言えば、以前、NHKでドラマ化もされて、今やカメレオン俳優として大活躍の高良健吾さんが白洲さんの少年時代を演じていたのが懐かしいですが、敗戦時の日本の外交を支えたダンディとして有名、奥様は元伯爵家令嬢。お能に造詣が深いこともあり、独特の審美眼で、主に年配女性の憧れの的でありました、いや、今も憧れの存在ですね。

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伊勢谷友介
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2009-11-20



 
  で、その旧宅が夫人の正子さんが亡くなられた後に公開されたという話は聞いていたのですが、当初は予約制だったような記憶があります。予約制と言うと、そうそう気楽には行けない感じです。

  そして、何よりも白洲邸がある場所が、我が家からの交通の便が極めてよろしくないのです。公共交通を使う限り、費用の事を棚に上げてしまったら、名古屋に行く方が手間いらずで、恐らく時間もかかりません。(;^_^A

 なもので、近くて遠い場所でしたが、今回、友人が車に乗せてくれるという話で、一気に実現。ありがたいです。

 友人の車のナビがおバカで、一般道を行かさせてくれず、何が何でも高速道路を使わせようとするのですが、白洲邸のあるあたりは、独身時代、両親と共に、町田リス園薬師池公園など、指折り数えるほどですが出掛けたことがある場所に近く、なんとなく土地鑑があったので、とにかく一般道で頑張りました。

 住宅街の中に目指す武相荘はありました。

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  敷地内のミュージアムショップに隣接のガレージカフェ(半屋外)には次郎氏愛用のクラシックカーがありました。小さな一軒家のミュージアムショップ(二階にメンバークラブ員用のお部屋があるようです)でチケットを買って、長屋門風の門をくぐると、ミュージアムです。

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 館内は撮影禁止ですが、5月に行った河井寛次郎記念館の武骨な美しさと似た感じで、随所に置かれた骨董らしい家具もどっしりしていて、民芸運動と通じるものがありました。

 正子さんの書斎の前室の本棚にはしなる程本がびっしりなのですが、既視感がある眺めでした。小学生の時、祖父は3畳の間を書斎にしていたのですが、その壁いっぱいに据えられた本棚にもびっしり本が入っていたのを懐かしく思い出しました。そして、入っている本の中は祖母の好んだ本と共通しているものもあり、記憶の蓋が開きました。

 和室の天井に、記憶の中だけに残る子どもの時住んでいた横須賀の家の八畳の間を思い出したりもしましたが、白洲夫妻がこの家を求めた頃には、こういう感じの日本の家が普通だったんだのでしょうね。特に豪奢な家というのではなく、あくまでも表舞台から引っ込んで気楽に暮らすため、農人として生きるための住まいだったようです。

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 ただ茅葺屋根は今ではすっかり贅沢品になってしまいましたね。

 平日で、入場料も1050円と決して安くはないのですが、かなりたくさんの方が見えていました。皆さん、ほぼ中高年。女性の方が多いのはこういう施設の恒例ですが、白洲さんにあこがれているのかなという感じのダンディな男性の姿も見られました。

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 周りにはびっしり今風の家が建て込んでいて、角度によってはそれらが目に入ってはしまうのですが、ささやかな流れがあったり、竹やぶがあったりして、白洲邸だけが違う世界のようです。

 ミュージアム内では正子さんのご愛用の夏の着物の展示もありましたが、今の季節、とにかく緑がきれいですし、竹やぶのそばにはなでしこが咲いていました。

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 駐車場からのアプローチに咲いているこちらはレースフラワーだと思ったら、足下の名札を見ると、どうやら人参のようでした。人参はセリ科だったかと改めて実感。

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 アメリカにすりすりする内容の講和条約の文面を白洲さんが書き換えたというのは有名なエピソードだそうでして、巻紙という、アメリカンから見たらトイレットペーパーかという体裁の文章の写しが展示されていましたが、一番気に入ったのは、次郎さんの遺言書。

 誰それに土地を、誰それに預金をなんて、細々した事は書いておらず(恐らく信頼関係があったからでしょうね)、バンと一発。葬式無用、戒名不用と書かれていました。カッコいい!

 ちょうど昼時だったので、レストランは外で空席待ちをしている方もおられる盛況でしたが、友人は3時には自宅圏内に戻らないとだし、お値段も我々ぼんび〜にはハードルが高めという事もあって、ミュージアムショップを見せていただいてから帰りました。

 駐車場は16台分あるそうです。平日だから、並ばず入れたのでしょうね。

 娘時代にそれと知らず武相荘のエリアを訪れることがあった訳ですが、当時は正子さんもご存命で一般公開はおろか、存在すら知られていませんでした。母は正子さんが亡くなられる前に逝ってしまったので、もしも元気だったら、きっと喜んで訪れた事だろうなと思います。

 さて、帰りもナビがおバカでした(ちゃんと操作できない自分らのおバカは棚に上げるのです)。ついうっかり一般道優先と押してしまったら、本当にぜ〜んぶ一般道というルート取りをしてくれて、こんな道通った事ないよという方向に導いてくれるではないですか。

 しかし、怪我の功名でした。途中で回転すしの店を発見。駐車場が十分あって、ちょっとしたご近所ショッピングモール状態になっていて、ドラッグストアとか靴屋にファミレス、書店などあるスポットでした。

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 回転すしだけど、税抜690円のランチ寿司にしまして、味噌汁とお茶はセルフですが、これが思いのほか美味しかったです。回転が良いのでしょうね、しばしばいまいちだなと思う事が多い鉄火巻がなかなか美味しいしご飯も良かった。

 思えば、私、5月25日から1か月以内に、弁当も含むお寿司を5回も食べてまして、これは近年の新記録です。ヽ(^o^)丿(5月25日夜、5月28日昼、6月5日昼、6月8日夜)

 敷地内のドラッグストアで昨晩で終わってしまったデンタルフロスも買えて、おバカナビの設定をその場で切り替えて、私がよく知っている場所を目的地にして、そこから先は人間カーナビで無事に帰宅出来ました。

 急ぎ足ではありましたが、一度行ってみたかった武相荘、行けて良かった武相荘でした。

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