南関東は雨です。関西も雨。地震の二次被害が出ませんように。

   梅雨らしい雨降りなので、ひとりきりの家の中も静かで、好きな時間です。こういう日には色々な事を思います。

  人は思っていた通りになるのだそうですから、つましい暮らしが好きと言ってる私が、リッチでゴージャスとか、生活感がないモデルルームのような暮らしというのは一生ご縁がなさそうですね。

  テレビや雑誌等で、あるいは友人・知人宅で「おおっ」と思う暮らしぶりを見て、素敵だなと羨ましくは思うのですが、残念ながら私にはインテリアセンスが欠けているようです。

  子どもの頃から見ていた祖母主導のインテリアがちょい個性的だったこともあるのでしょうけれど、 ソファー、テーブルセットなど、ショールームやモデルルームにありがちな配置というのが、自分の中から抜け落ちています。
  その一方で、自分の中で快適な暮らしというのは、子どもの頃から読んでいた物語の中にありました。

  豪華より質素、だけど快適が好きなんですね。お金持ちではなくても、あるいは貧乏でも、心あったまる暮らしに惹かれて来ました。

  例えば、若草物語で有名なオルコットによるこの作品。

昔気質の一少女 (下巻) (角川文庫)
ルイザ・メイ・オルコット
角川書店
1990-12



  これの少女バージョンで「谷間の白百合」というのを子ども時代は読んでいました。

  田舎の堅実な家庭で育ったヒロイン、ポリーが、NYのお金持ちの家に寄留して出会う様々な出来事を描いているのですが、ポリーが独立して構えたおうちというのが、決して豪華ではない、むしろお金が無い人の仕様だけれど、心温まる心地よさがあるという設定。 ヒロインの親友となる寄留先のお金持ち令嬢のファニー、最初はつましいポリーを上から目線で見ていましたが、自身の変転により、見る目が変わって行くのです。

 最後はハッピーエンドになるこの物語、ポリーやファニーの成長や葛藤、恋愛など、時代が変わっても古さを感じさせないストーリーで、大好きなんですが、このポリーの暮らしぶりにとても惹かれました(優等生過ぎるところは、ちょっとですが(笑))。

  そして、もう一つ。本棚にあったので読んでみた「コタンの口笛」。差別されながら、しっかり生きていくアイヌの姉弟を描いた作品で、友情や葛藤など描かれていますが、ここに登場する姉弟の心の支えとなるひとり、学校の技術員さん(昔は用務員さんと呼ばれていました)のフィリップさんが、淹れてくれるコーヒー風飲み物。

 姉弟と同じくアイヌのフィリップさんの暮らしは貧しいのですが、薄い薄い珈琲の香りのする飲み物を淹れてくれ、それを飲んだ姉マサの心がほっこりする様子が描かれていたのが印象的でした。

 心がこもっていれば、例え質素なものでも、人の力になる、心の栄養になるんだなと思わされた場面でした。




 余談ながら、作者の石森延男さんは、行き来するような親しさではなかったものの、祖父の同級生だったそうで、祖父が亡くなった後に、作品を読んだことを言うと、祖母から「感想を書いて送ったら」と言われたのに、私がごとき子どもが感想送ってもな、と思って、実行しなかったのです。 作者にとって読者からの感想は大きな励みになると知らなかった子どもでした。 子ども時代しなかったのを後悔する事のひとつです。

 さらに、こんな家に住みたいと思ったのは、大好きなナルニア国物語の「馬と少年」に出て来る国境堺の仙人の家。




 今風に言えば、この作品はナルニア国物語ではスピンアウトの位置づけでしょうか。中心人物はロンドン在住の少年少女ではなくて、ナルニアの隣国の捨て子の少年シャスタなのですが、彼がある使命を帯びて、困難な旅の途中、へとへとでたどり着いたのが仙人の家で、簡素なのだけれど、素敵に寝心地の良いベッドがあって、とても快適そうに描かれています。ですが、大けがをしたシャスタの連れの少女アラビスは滞在を許されるものの、シャスタはここで英気を養ういっときの猶予も許されず、また困難な旅を続けるのです。

 このように、目に留まる、心に留まる素敵な暮らしというのが、世間スタンダードでは地味、質素、簡素、などなど、まとめて言えばつましいのであります。

 つましいのはお金がないという捉え方もあるかとは思いますが、私の解釈ではつましい≠貧乏くさいでして、むしろいいなぁと憧れなんです。

 逆にお金があっても貧乏くさいってのも、世の中には多々ありますよね。 自分の中で最悪の暮らしはそれ!www

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