八ヶ岳を去る前夜は立ち寄り湯を利用して、出来るだけ浴室に湿気を残さないようにしています。

     湿気があると、その次に来た時に、ものすごい数のカマドウマのお出迎えを受けるので、水気を拭き取ったりしていましたが、いっそのこと使わなければいいのだ!という安直な解決策が立ち寄り湯なのでした。f^_^;
     余談ながら、北杜市の立ち寄り湯は以前は地元の人、観光客(いちげんさん)、別荘保有者向けの枠があったのが、三年くらい前にすごく値上がりして、しかも、別荘枠が撤廃され、いちげんさん枠で820円になり、ンニャロ!で利用をやめていた時期がありましたが、何ヶ所かで共通に使える温泉手形なるものを買えば、長野県のいちげんさんでも450円から高くても600円程度というありがたみのある料金には及ばずとも、ガソリン代や時間をはかりにかけたらまあまあになり、昨年から利用を復活しました。

   で、道の駅の隣、小淵沢インターチェンジから直ぐの利便性で、恐らくは近隣では一番人気かと思われる小淵沢の延命の湯に行ったら、いつになく空いていて、特に一番奥の岩風呂風の露天風呂は一人になれる時間も多く、外の空気に触れられる分、湯あたりしにくいので、とっぷり浸かっていました。

   流石にそろそろ出なきゃね、と露天風呂を出たところ、ありゃ、ちょいふらつくわと思ったのですが、空いている脱衣室でカゴを取って来て、スナップボタンでとめるタイプのタオルを辛くも巻き付け、洗面化粧台前のベンチに置いた後がいけません。

    ありゃりゃ脱力。濡れたタオルをろくに絞れず化粧台に置いたあと、こりゃいかんでその場に寝転がりました。

   ごくごく短時間ながら、何だか夢を見たようです。そんな私に気付いてくださった親切な方が、人を呼んで来ますからねと言ってくださるも、声だけでお顔は全く分からず、一応お礼は申し上げたつもりですが、本当のところはわかりません。

   声だけ聞こえる従業員の方が、お水と氷を持って来ますからと側に来てくださり、しばらくして再び来られて、氷の入ったビニール袋を両脇用に用意してフェイスタオルにくるみ、頭の下にはバスタオルを敷いて、安心感のある落ち着いた声でゆっくり語りかけてくださいました。

   そのうちに焦点が合い、そういうものや係の方のお顔が見えて来た次第です。

     まず心配されたのが、頭を打っていませんか?という事で、寝転がりながら聞いていると、中には転倒して岩の部分で切っておおごとになる方もおられるとか。

     ああ良かった、お顔の色が戻って来たと言われる頃にはすっかり意識もはっきりして、フラフラも治りましたが、大丈夫と言うと、今日は空いているし、ゆっくりなさってください、とお水を置いて去って行かれました。待ちぼうけしているかもな家人の特徴と名前を言って伝言をお願いしました。

      水、飲みたかったので嬉しかったです。ゴクッと飲むとムックリ起きて、普段通りにドライヤーを当てたり着替えたりしましたが、係を呼んでくださった親切な方はもういらっしゃらない様子でした。いや、全くお顔も分からないので、それらしい方は?と辺りを見てみましたが、入浴客は入れ替わっているようでした。

     待合スペースに行って家人と合流。直ぐに受付にいた係の方にお礼申し上げました。お名前をここに書いてしまって良いのかわかりませんが、バッタンしている時に話してくださったのは神奈川県からこちらに移住された方との事でした。

     どなたか分からない方、係の方には本当に感謝です。

     以前、人間ドックの腹部レントゲンでも、気持ち悪いから止めてくださいと言うのが通らず、失神状態になり、ボーッと夢を見て、そのうちに車椅子に乗せられ運ばれて寝かされた経験がありますが、あの時と同じ感じでした。

     あの時は最低血圧が50くらい、俗に言う狸寝入りの状態に陥ったのではないかと思いますが、最初の気持ち悪さのあと、途中からはボーッと夢見心地で存外悪くありません。

   よく死ぬ前には目は見えなくなっても、聴覚は最後まで残ると言いますが、こんな感じなのかな?と思いました。こんな風に死ぬなら悪くないなぁとも。

    いずれにせよ、長風呂なんてのは最早危ない年令になっているんだ、とちょっとがっかりしました。復調しつつある途中で、係の方にお聞きしたところ、転倒したり湯あたりしたりが多いのは圧倒的に高齢者なんだそうです。

     年寄りの冷や水も危険ですが、今の時代、年寄りの長湯もいけませんね。

    入浴時には小さなお子さんから目を離しては行けませんが、体力や足元の衰えたお年寄りも付き添いが必要なのを実感しました。

     反省して、これからは空いてて嬉しいからと、或いは元を取ろうと意地汚く長湯はしないように気をつけます。

      延命の湯のとなりにある素朴系のレストランで地粉そばを完食して元気に帰宅、その後はさっさと床に入りました。

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