今日はゴールデンウィークの頃に市の観光協会配信のメルマガを見て申し込んでおいた大倉陶園百周年記念の特別見学会です。

     陶器と言えば、有田か東海地方か、というイメージで、勝手に大倉陶園は九州にあるに違いないと思い込んでいたのですが、何と本社は横浜の戸塚にあった!

    中学時代の友人、通称、黒歴史の友を誘ったので、まずご飯を食べてからですが、恐らく初めて下車した戸塚駅、すごい発展ぶりにびっくり。

   友人は何年か前に降りているらしいですが、待ち合わせ場所を指定しながら、本人が分からなくなる程の変貌ぶりだそうで。

    うーむ、甚だ失礼ながら、横浜のいまいち区という気持ちで勝手に同胞感抱いていましたが、うちの区とは利便性が全然違うわ。うらやまー! 

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   昼食後バスで移動。途中、停留所の名称にもブリヂストンやポーラなどが冠されていましたが、他にもヤマザキパンの工場も見えました。

    大倉陶園はこちら。

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    住宅街にある古式ゆかしさを感じる工場です。

   写真撮影オーケーのショールームで100周年記念製品やレギュラー製品を見ながら、開始時間を待ちます。

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    カガミクリスタルの切子と大倉と言えばこれ!なブルーローズを合わせた記念商品。軽自動車買えるくらいのお値段だったような💧

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    ひな祭りや鯉のぼりなどの風物詩の小皿は比較的お手頃価格。大きめの七夕は10万円アップ。

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    京都の細見美術館とコラボの伊藤若冲柄。怖い目の鶏だぁ!

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    大倉陶園しか維持出来ていないエンボス加工(盛り上がっている金のライン部分)を施した豪華なセット。やっぱり車が買えます。

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    ↑ 文字通り華を添える感じで、お花もきれいです。

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   ↑ドーナツ型花器、食卓に簡単に生リースが登場!税込12960円なり〜!
    
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   と頂いてきたカタログ見ながら打ち込みましたが、精巧な磁器の美しさにほかのお客さまたちも見入っていました。

     時間になると、撮影禁止の特別展示室の手前の会議室で、各々全部違うセットてコーヒーのおもてなしがあり、社長のお話を伺いました。

   大倉陶園は元は書店からスタートにも驚きましたが、2月に行った大倉山、あちらの公園、大倉精神文化研究所も、この大倉陶園の創業者のご子孫によるものだとか。

    ひえーっ、友人ともどもなーんにも知らず大倉山で三年間中学生してました。

     続いて、美術品レベルの特別展示品を拝見。東西の迎賓館の食器や富士屋ホテルや奈良ホテルの特別な来賓のための特注品もありました。

     ちなみに迎賓館のような場所では入札制があるらしいです。また、コンセプトの指定はあるもののデザインは陶園のデザイナーが起こし、手直しが必要なこともあると言うレベルで、独創性も誇りのようです。

    戦前の東久邇家に嫁がれた昭和天皇の長女のいわゆるお嫁入り道具としてのセット、最高傑作だそうです。門外不出状態で東久邇家で保管されているものを特別にお借りしたとか。

     しかし、またしても斜め目線な奴。庶民が鍋釜まで供出、都市部ではそこら辺の草でも喰らえ!状態の1943年頃でも、特別な許可を得て、高級な粘土や金を豊富に使う贅沢品をつくる事が出来ていた大倉陶園に注文出来る人たちがいたという事。

   これが階級社会というものでして、今後の日本が逆戻りしてしまうかも知れない方向性なのかぁ。(-_-;)

   と、気分が落ち込みかけましたが、いよいよ工場内部へ。

   30メートルを越える長さの窯。温度を一定に保つために積み上げる高さをなるべく揃えたり、火を止めるのも年に二度くらいとのこと。石油は価格が不安定なため、今は都市ガスが熱源だそうです。

    話が前後しますが、型取りをするものとろくろを使うものと、成形には概ね二つの方法があるそうですが、焼成すると縮むので、それを考えて成形するとのことですし、釉薬の掛け方もマスキングしたり、細かく気配りしているそうですし、何より仕上げが非常に丁寧で、検品も厳しいとのこと。

     窯に続き絵付け、彩色の部屋。見学者の気配など感じていないような集中ぶりで一心に筆を持つ人たち。若い方も意外に多かったのですが、芸術系の専門教育を受けていて、出来たら日本画系、入社に当たっては実技もあると言う狭き門のようです。

     最高級品は手描き。それぞれの手が違ってしまうとばらつきが出るので、分業せず、1人が全部担当するそうで、大量納品の時には激務でしょう。

   窯も火を絶やさないためには三交代勤務です。

    ブルーローズに代表される輪郭が柔らかくボカシになっている技法は大倉陶園独自で岡染めと言う呼び方もオリジナルだそうです。二度の焼成を経て、二度目にぼかしが入るため、虫眼鏡でも違いがわからないレベルらしいですが、普及品は手描きではなくて、いわゆるシールを貼るスタイルになります。もちろん、それだけでも高度な技術を要しますが。

   とにかくツルツルに作る美しい白磁なので、茶渋が付きにくく落としやすいそうで、我が家のマグたちの茶渋のつきやすさと落としにくさを思い、トホホな気分になりました。

    値段も良い高級品なので、とっておきの客用か装飾品だと思い込んでいた大倉陶園の食器、実は普段使いしてこそ良さが分かるのだと納得いたしました。

  で、すっかり欲しい気分になるものの、金彩のあるものは電子レンジにかけられない!というまっことビンボーくさく、邪道家事人間ならではのハードルの高さがあります。

   数少ない金彩無しの商品があるので、今度、全然使う機会が無い最寄りのデパートの商品券にお金を足して買おうかな、あのデパートに置いてあれば、ですが。

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   工場というより工房の趣でしたが、構内にはバラが咲いていました。尾籠な話で恐縮ですが、お客さん用も従業員用もお手洗いがとても清潔でした。

   友人は私と違って、おもてなしのコーヒーが淹れられた自分が使った豪華な金のエンブレム入りカップアンドソーサーがお気に召した模様。さて、彼女と私、どちらが先に入手する?  彼女と言う気がしますが。f^_^;

   面白かったね、きれいだったね、と言いつつバスに乗り戸塚駅に戻り、次なる目的地は横浜そごう。

    先週みなとみらいランチした友人がくれた招待券でウィリアム・モリスと英国の壁紙展へ。

     この展示、昨日、高橋恵美子先生も教室の帰りに寄るとおっしゃってましたが、デザイン、インテリア、テキスタイルに興味がある方には必見もの。

     写真撮影オーケーなコーナーもあります。



      モリス以前の王侯貴族級をはじめとするお金持ち向けの壁紙から始まり、日本の技術の金革唐紙を用いた豪華な壁紙やら、中流に手が届く壁紙など、ものすごーくデコラティブなものから、比較的シンプルなものまで、モリスの後継者のものまで含めてたくさんの壁紙が展示されていました。

    エンボス加工、こちらでも大活躍!

   撮影オーケーコーナーは現代のモリスの壁紙を使った実物大のお部屋展示です。

    しかし!

    またしても斜め目線な奴。かわいくねー。

     見るのは好きだが、無理だよこの壁紙ワタシには。ちょうどイギリスの植物柄の食器をひとさまのお宅で使いこなされているのを見せていただく(時に食べさせていただく^ ^)のは好きだけど、ウチじゃ無理だ!と同じ感覚です。

    映像コーナーでは、日本のお宅でモリスの壁紙やテキスタイルに囲まれている事例を流していましたが、もちろんスッキリ片付いたお宅だから素敵なんですが、もし我が家がスッキリ片付いたとしても、絶対落ち着かないぞ〜!と。

   そこは不思議なもので、大倉陶園の食器なら、少しは我が家に入れてもと思えるのに、受け付けないんですなぁ。国粋主義者のつもりなぞないのに😅

     年齢を重ねるごとに生理的に洋物より和物になってしまった流れですかね。

      私ですら分かる簡単な 英語字幕しかない作り方工程の小さなスクリーンもありましたが、先ほどの大倉陶園と共通のものを感じました。作業がとても丁寧です。版木をずれないように何度も置き、重ねていく。そもそも色の調合からして正確を期しているし。

    やはり工場と言うより工房なのです。

     本日は暮らしを彩り美しくするものたちとの出会いの日であり、本日も眼福なり!

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