フィレンツェに行く前にビビってしまった事に、防犯情報もありましたが、ウフィツィ美術館やピサの斜塔を始めとする大人気スポットの予約システムがありました。

  イタリア在住の方から旅行通の方まで、色々な方たちによる予約情報を拝見しましたが、好きな時にフラッと行って見られると言う日本の仕組みしか知らない身には大変な難儀に思われました。
   
  そこにはまず言葉の壁がございます。

   かつてのように金にものを言わせてブイブイやってた時代に予約システムが出来ていたなら、もしかしたら日本語表記もあったかも知れませんが、私の見た限りの公式サイトでは、やっぱり強い英語バージョンとイタリア語のみ。

  それでも懇切丁寧な説明をしてくれているサイトのおかけで何とかピサの斜塔の予約は出来ました(今はなきジオシティのサイトの時にお越しくださったピサ在住のMezzanaさんにご連絡したところ、長のご無沙汰にもかかわらず、いざと言う時には連絡してくださって構いませんよ、とおっしゃってくださったのが、いわばお守りになり、安心して作業出来ました)。

   ウフィツィ美術館とアカデミア美術館については先述の公認ガイドのAzuさんに予約をお願いしました。

  どちらでも出入国並みな検査があるのも驚きでした。

  かつてミケランジェロのピエタを感動のあまりに傷付けてしまった事例があったり、昨今のテロを恐れてだとは思いますが、日本でも弥勒菩薩像の指が折れた事件(これも感動のあまりだったと記憶します)があった割にはゆるいです。 性善説なのかも知れませんね。
   
 フィレンツェでも全ての美術館博物館寺院に予約が必要な訳では無くて、ドォーモの屋根が良く見えるジョットーの塔は予約不要であるがゆえに長蛇の列でした。

  日本の美術展、とりわけ上野で開催される人気の企画展の何が嫌かと言うと、ものすご〜い長時間並んで待った挙句に、目玉の展示の前をベルトコンベアに乗せられたが如くの速度で見ることを強要される点です。

  或いはやっと入ったのに、ベルトコンベア現象とは真逆の展示前に張り付く人たちがいて、ろくに見られないか、という両極端な不快な現象に当たるリスクが高いです。

  前者の典型例は東京国立博物館の鳥獣人物戯画展で、後者は芸大の『見たことあるでしょ、教科書で』展ほかです。

  日本のアートは細密な工芸や絵巻物が多いのも、張り付き現象を起こしやすいのはあるのでしょうけれど、そして、首都圏のみならず全国から人が集まる東京と言う立地のせいもあるのでしょうけれど、安からぬ鑑賞券を購入、長時間並び、ろくに見られないはものすご〜く損した!感があります。

  だから、同じ鳥獣人物戯画展でもたっぷり見られた京都国立博物館の方が好きですが、そうそうしょっちゅうは行けません。

  そういえば、補修したての姫路城やヒコにゃん大ブーム勃発時の彦根城など、天守閣に入るまで行列、入ってからも大変で、ゆっくり天守閣からの眺望を楽しむどころではありませんでした。

  城は侵入者をかわすため、構造がボトルネック状態だから仕方ないとも言えますが、ピサの斜塔なんて、お城の階段以上に横幅が無いので、譲り合ってすれ違わなくてはなのに、人数制限をしていて、激混みにはならないからトラブルはなかったです。

   これらの経験を思うと、無事に予約が出来たなら、満足行くまでじっくり鑑賞出来るウフィツィ美術館や、確実に登楼出来るピサの斜塔の方が、気ままに行けるが、高確率で不満足な思いをさせられる日本のシステムより優れものだなぁと思います。

  特に日本の優れた建築や美術品を見たいと訪日してくれた外国人観光客にとってはがっかり度絶大なのでは?と心配になります。

  どの展覧会がどれくらい集客するのかの読みが難しい面もあるでしょうし、制限をして人数絞るより、誰でもOKにした方が入場料やら拝観料がたくさん入る!と言うのもあるかもですし、ブームといえば飛び付く、行列大好きな人が多い国民性もあるのかもですが、ワタシャイヤだ!!

 コスパ悪過ぎ!

 今回、フィレンツェ旅の鑑賞券や拝観券は日本のそれに比べて高い目ではありました。ですが、観覧を終えて見れば満足感が高く、足を運んで良かったなと思うところばかりでした。

  紅葉の東福寺、もはや写真撮影すら禁止される程の激混みだとか聞くにつれて、もったいないよなと思うし、予約制が厳密な宮内庁管轄物件で最人気の桂離宮が有料化と聞けば、正解だ!と思う身としては、お高い目の有料でいいから、ゆっくり見たいよ!です。

  日本の、広く誰でも楽しめるように、と言うコンセプトは立派ですが、混雑時の実態を思うと、超人気の企画展や期間については、予約制や人数制限を導入した方が良いように思えました。

(って、昨秋の京博の三十六歌仙みたいに、フラッと立ち寄れるのも捨てがたいんですがf^_^;)。