お出かけしちゃうか、家にいればBlu-ray録画機の空き容量を増やす作業に勤しんで、他のことの優先順位を落として、片づけが全然進まない家人A。

   というのを見て、最近はリアルタイム視聴が出来ない番組もなるべく録画はせず、ネットで見逃し配信している時は極力それを見るように心がけています。

   今年の春から放映されるようになった夜ドラでは「つまらない住宅地のすべての家」からNHKプラスで見ています。

   で、今はつくたべこと「作りたい女と食べたい女」を見ています。
作りたい女と食べたい女 1 (it COMICS) [ ゆざき さかおみ ]
作りたい女と食べたい女 1 (it COMICS) [ ゆざき さかおみ ]

  原作の漫画は読んだことがありませんが、特に「食べたい女」の春日さんを演じておられる西野恵未さんの再現度がすごいんだとか。

  食に興味があまりないと公言している自分なので、最初は見る気はなかったのですが、友だちが良いと言っているので見始めたら・・・おいしそうな事はもちろんだけれど、なかなか考えさせられる作品であります。

  見逃し配信で昨日見た分は、おとといの水曜日の夜の分でしたが、年末をどう過ごすかという話をしているうちに、プライベートを語る事がなかった春日さんが自分がなぜ帰省しないかを語り始めるのですが・・・

  春日さん、現代のアラサーくらいの女性です。なのに、実家では父と弟ばかりがいいところを十分食べて、少な目、残りものなどを母と自分が食べ、しかも片づけは弟が遊んでいても自分だけ、という育ち方をして、思春期に夜中に隠れておいしいものをひっそりと食べなくてはいけない事に嫌な気持ちになって、帰ればまたあんな思いをするのかと帰省したくなくなったと語るのです。

  いやはや衝撃でした。ドラマ化されるほどの人気コミックなのですから、こういう状況がまだ日本にはあるのでしょう。

  春日さんのお父さん、娘の県外への進学を許したくらいですから、めちゃくちゃ保守反動という訳ではなさそうで、全く悪気なく無意識で差別をしているご家庭なのでしょう。鈍感だと気付かないかも?
  
  親が戦中戦前生まれで家父長制がしみついている私の世代では、父親がお頭つき、長男もおかしら付き、残りものが二男以下と母親、娘というのはありえましたが、それは現実というより、しつけのネタにされていた感じがします。

  「昔はね(この昔はつい20年前のことだった)、親と長男は優遇されていたんだよ、だからあんたは我慢しなくちゃ」という風な言いかたで・・・

  そして昔はそのような差別があっても、冷遇されるきょうだいが複数いて、自分ひとりじゃないというのもあっただろうし、かなり保守的だった我が実家でも、そこまでの差別はなかったです。

  仮に量が違っていたとしても、兄と私は6歳違いで、子どもの頃は体格や食べる量が違ったので、差別と感じる事はなかったです。

 なのに、なのに・・・春日さん、21世紀を生きているとは思えん。

 一方で、野本さんは好きでやっている料理なのに、事あるごとに「いいお嫁さんになれる」という男性に沿う視点で評価されてしまう事に、やりきれないものを感じているのでした。

  だから、おいしいものをたくさん食べたいと、好きな料理をいっぱい作って邪心なく食べてくれる人に食べてもらいたいという二人の思いが一致して、とても居心地の良い関係になっているようであります。

  これ、わかる!

  私が料理が苦手な理由として、興味が食以外に向くも大きいのですが、料理が出来る=将来いい相手と結婚できるという女性一般に向けられた意識が嫌というのもありました。

  胃袋で男をつかめ・・的な発想が世の中にまん延していて、悪気はないのでしょうけれど、母や兄はじめ、学生時代に知り合った人たち、会社時代に知り合った人たち、ほぼ片端から「料理上手にならないと」と言う有言無限の圧を掛けて来たことが大きいんだなと、今さらながら気が付きました。

  そして、私世代くらいまでだと「結婚出来ない娘」(男性の場合、更に圧があったようですが、当事者じゃないので置いておきまして)がいるとは「親としてどうなんだ」という圧があった事と思います。だから「娘を片づける」って物みたいな言葉が普通に言われてました。

  自分を貫く程の何も持たない身だったので、結局、親の望むその風潮に合わせてしまった自分ではありますが、居心地の悪さが通奏低音のように続いていました。

  結婚相手と義実家が、自分の実家以上に保守的だったので、もしそうではなかったら、ず〜っと抱え込まないで済んだかも知れませんが・・・

 そんな違和感を、今さらではありますが、少しでも語れる、ドラマという大勢が視聴するもので語れる時代になったんだなぁという感慨深いものがあります。

 と共に、そのドラマが新鮮と感じられる程、未だに女性のおしゃれや料理が、ありていに言えばより良い男性をゲットするためのツールであるというのが続いている現実もあるのだと思わされます。


 思えば、私の子ども時代、祖母の思い出話には「仲が良かった幼なじみが美人なばかりに酒代として父親に売られた」なんて話があったくらいですし、四国出身の祖父の実母は直ぐに妊娠するからと離縁されて、不妊が分かっている女性が継母となったというようなひどい話をしていました。

  そして、渋沢栄一のような著名な人はもちろん、祖父のいとこの船成金レベルまで、正妻以外に女性が複数いて、婚外子がいるというケースは多々あったようでして、母が清廉だが稼ぎ力がない父を嘆いて、な、何と「お妾さんがいてもいいから、稼げる男性がいい」というトンでも発言をするのを聞いたことがございます。

 それくらい、女性は男性に従うもの、女性の幸せは男性次第という時代はごく最近まで続いていたわけで・・・

  我が家でも末子長男として優遇されていた家人Aが、人の物やパワーを当てにするが自分の持てる物は出し惜しみするなど、男性が上、女性は下、という意識がものすごく根深くしみわたっているのを感じますが・・・

  私の片付けと同じ(という次元にするなよと言いたいところですが💦)、少しずつでも変えて行きたいし、この先も変わって行って欲しいです。

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