夏休みはモロッコいんげんをたくさん食べて、好きな映画のひとつがモロッコが舞台の「カサブランカ」なので、地震のニュースは気になりつつ、昨日借りてきた本を今日も読んでいました。
偶然にも朝ドラ「らんまん」でヒロイン寿恵子さんが愛してやまない「南総里見八犬伝」からみでした。
「八犬伝」の作者、曲亭馬琴(滝沢馬琴)の家に嫁いだ路(みち)の目を通して、特異な滝沢家の人たち、出来事を描いている実話ベースのフィクションであります。
ヒロインの路さんは晩年、失明した馬琴先生の代筆を行っていた有名な方だそうですが、本作で初めて知りました。
作者の西條奈加さんは「金春屋ゴメス」で知った作家さん。
時代劇仕立ての奇想天外なファンタジーでとても面白かったのですが、作者の本領は奇想天外系ではなくて江戸の人情ものにあるようで、この「曲亭の家」も直木賞受賞作「心淋し川」と同じような人情系の長編であります。
ネタばれになってしまうので細かいことは申しませんが、ひとりの天才のまわりは陽の目を見る事の出来ない人たちや下敷きになってしまう人たちがたくさんいるんだなぁと思わせてくれます。
加えて、親心が子どもの心とうまくかみ合わなかったりすることも描かれていますし、男尊女卑、家父長制の下であっても唯々諾々と長いものに巻かれる一方ではないヒロインのありようは、設定は江戸時代ながら、今に通じる部分もたくさんあって、遠い過去の他人事と思えないです。
「らんまん」の寿恵子さんは最初から主人公の万太郎さんと惹かれあって、自分も冒険をしたいと、明るく前向きに好きなことに打ち込む夫を支えていますが、それとは180度違って、本作のヒロイン路は親や本人の見栄と当時のしきたりにそって結婚して、何度か婚家を飛び出すような事態になりつつ、次第に周囲を支えていくようになるのですが、行きつく地点には大きな差がなく思えます。
自分が選んだわけではない生き方の中で懸命に生きて、それが地味でも小さくても最後には報われる姿が感動を呼ぶのであります。
・・・が、やっぱり本当のところ同じ苦労するなら、自分が納得して前向きに飛び込んで出来た方がいいですね。
作中には、人づきあいが悪かった馬琴先生が胸襟を開いた数少ない人物として渡辺崋山も登場します。崋山のリアルな肖像画のひみつもちょこっと描かれています。
八犬伝と言えば、高校2年の時、クラスメイト女子の間で辻村ジュサブローさんによるNHKの人形劇「新八犬伝」がブームとなり、おどろおどろしい声で我こそはたまずさが怨霊〜というセリフを言いあってキャッキャしたのは懐かしい思い出です。日航機事故で亡くなられた坂本九さんがナレーションを担当、主題歌も歌っておられました。
♪仁義礼智忠信孝悌〜いざとなったら玉を出せ♪
それから、綾瀬はるかさんを始めて見たのが民放の正月大型時代劇の八犬伝のはまじ役で。相手役は滝沢秀明さん。はまじは控えめで運命に振り回される役どころだったので、後年、アクションシーンの多い役柄をされるとは想像も出来ませんでした。
・・・と形を変えて現代まで語り継がれる作品なんですよね、八犬伝。
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「八犬伝」の作者、曲亭馬琴(滝沢馬琴)の家に嫁いだ路(みち)の目を通して、特異な滝沢家の人たち、出来事を描いている実話ベースのフィクションであります。
ヒロインの路さんは晩年、失明した馬琴先生の代筆を行っていた有名な方だそうですが、本作で初めて知りました。
作者の西條奈加さんは「金春屋ゴメス」で知った作家さん。
時代劇仕立ての奇想天外なファンタジーでとても面白かったのですが、作者の本領は奇想天外系ではなくて江戸の人情ものにあるようで、この「曲亭の家」も直木賞受賞作「心淋し川」と同じような人情系の長編であります。
ネタばれになってしまうので細かいことは申しませんが、ひとりの天才のまわりは陽の目を見る事の出来ない人たちや下敷きになってしまう人たちがたくさんいるんだなぁと思わせてくれます。
加えて、親心が子どもの心とうまくかみ合わなかったりすることも描かれていますし、男尊女卑、家父長制の下であっても唯々諾々と長いものに巻かれる一方ではないヒロインのありようは、設定は江戸時代ながら、今に通じる部分もたくさんあって、遠い過去の他人事と思えないです。
「らんまん」の寿恵子さんは最初から主人公の万太郎さんと惹かれあって、自分も冒険をしたいと、明るく前向きに好きなことに打ち込む夫を支えていますが、それとは180度違って、本作のヒロイン路は親や本人の見栄と当時のしきたりにそって結婚して、何度か婚家を飛び出すような事態になりつつ、次第に周囲を支えていくようになるのですが、行きつく地点には大きな差がなく思えます。
自分が選んだわけではない生き方の中で懸命に生きて、それが地味でも小さくても最後には報われる姿が感動を呼ぶのであります。
・・・が、やっぱり本当のところ同じ苦労するなら、自分が納得して前向きに飛び込んで出来た方がいいですね。
作中には、人づきあいが悪かった馬琴先生が胸襟を開いた数少ない人物として渡辺崋山も登場します。崋山のリアルな肖像画のひみつもちょこっと描かれています。
八犬伝と言えば、高校2年の時、クラスメイト女子の間で辻村ジュサブローさんによるNHKの人形劇「新八犬伝」がブームとなり、おどろおどろしい声で我こそはたまずさが怨霊〜というセリフを言いあってキャッキャしたのは懐かしい思い出です。日航機事故で亡くなられた坂本九さんがナレーションを担当、主題歌も歌っておられました。
♪仁義礼智忠信孝悌〜いざとなったら玉を出せ♪
それから、綾瀬はるかさんを始めて見たのが民放の正月大型時代劇の八犬伝のはまじ役で。相手役は滝沢秀明さん。はまじは控えめで運命に振り回される役どころだったので、後年、アクションシーンの多い役柄をされるとは想像も出来ませんでした。
・・・と形を変えて現代まで語り継がれる作品なんですよね、八犬伝。