脅迫業・・・ついつい思ってしまうのは、巷にあふれる健康・美容・教育業界などのアピールの仕方です。

  〇〇を使い続けたら、こんなに△△になりました。
  
  くらいなら可愛いもんです。

  それを飲まないと、足腰立たなくなって好きなことが出来なくなっちゃうかも

  そこに通わないと、よりいい学校に入学できません

  それを塗ったら、しわしわになりません

  ってな、〇〇しないと△△という、脅し、人の不安につけこむ言い回しをする商売してる組織を密かに「脅迫業」と呼んでいるのです。まぁ、中には個人でも脅迫的な言動で相手を思い通りにしようとするけしからん輩もいますが・・・

  もちろん、すべてがそうではなくて、なかにはしごくまっとうな情報を伝え、判断を相手に任せるという正統派も少なくありませんが、世の中には断定的に(その根拠の真偽はともかくとして)すればこうなるからやりなさい!と言われると信じる人が多いのでしょうね。

  特に最近のネット上に現れるダイエット、アンチエイジング系の広告なんて、あからさまに不自然な加工を施してるのに、こんなの信じる人いるの?と思うんですが、それでも買う人がいるから止まらないのでしょうね。

  若い頃はひょっとしたら信じてもいいのかもと思わないでもなかったのですが、年を重ねるごとに「はぁ?」と思うようになってまいりました。

  例えばダイエット。何かを飲んだり食べたりだけで体重減らそうという食品、そんなの要らんわ。

  もちろん、体質や疾病等、あるいは薬の副作用等で、どうしても体重が増えてしまうというケースもあると思いますが、それらは怪しげなものに頼るより受けるべきはきちんとした医療だと思います。

 大概は食べる量が動く量に見合わないから太るのでありまして、食べ過ぎをやめて、運動はしなくてもいいから、短い距離でも車に乗るってのはやめたらいいのに・・と密かに思います。

  アンチエイジング系も、ぷるぷるコラーゲンなんてのを見ますけれど、人間、年を取ったらどうしても容貌が衰えていくのはこれは自然の理。お医者様の書いた文章で、その手の美容成分は飲んでも消化されるだけで肌に作用することはまずないと言う内容のものを複数見た事があります。

  膝の痛みがなくなってすたすた歩けるようになりましたってコンドロイチンとかも同じように書かれているのを、これも複数のお医者様の文章で見ました。加齢でどうしようもない部分もあるし、医学的根拠もなければ、金払う以外の努力の必要もない方法で安直にどうにかしようというのは甘いと・・・。💦

  なのに、使わないと、しわが寄ったり、膝が悪くなってしまうような不安を与える宣伝をしているのが気に入りません。

  その不安に付け込まれた人は、どんだけお金を払っている事でしょうか。

と言いつつ、私もブルベリーのサプリは摂ってるので、あまり偉そうなことは言えないけれど、ひとつくらいそういうのがあってもいっか〜。(^^ゞ)
  
 ・・・・と自分が思っているようなことを作家でもあるお医者様が書いている本がこちらです。

寿命が尽きる2年前 (幻冬舎新書)
久坂部羊
幻冬舎
2022-11-02


寿命が尽きる2年前 (幻冬舎新書) [ 久坂部 羊 ]
寿命が尽きる2年前 (幻冬舎新書) [ 久坂部 羊 ]

  著者は日本人は平和なあまり抱かなくてよい不安をたくさん抱え、私のいうところの脅迫産業の餌食になって(というのは私がそう解釈しただけで、著者はそんなお下品な表現はしておられません)いるが、知らぬが仏の方がいいのではないかと。

  特に高齢期になって、日々、老化に抗い、いつまでも健康で美しくとこだわったり、とにかく生き続けたいと願う事で、不安にさいなまれ、結果、脅迫産業に手玉に取られるくらいならまだしも、無駄な医療を受け続け、ずいぶんと苦しい思いをすることになると書いておられます。

  特に延命治療、一度始めるともう止められないらしいです。途中で止めると今の日本では医者は逮捕されてしまうので、死に至るまでどれだけ患者が苦しみ、なおかつ見苦しい様子になって行っても後戻りが効かないと、ぞっとする実態を書いておられます。

  健康診断も建前では早期発見早期治療という事になっていますが、今の基準ではかつてならスルーされていた血圧でもつかまってしまって服薬をしなくてはいけないし、検査被ばくでガンになるリスクは日本は先進国の中ではトップクラスに高いとの事。

  悪いところが見つかってもいないのに、健診を受ける必要はない、となかなか大胆なお言葉ですが、こういう言葉はしばしば医療関係者から出てくるのは、彼らは数多くの患者さんの実態を見ているし、医療にかかわるお金の流れ(たとえば被ばく量が莫大なCTスキャンなどは稼働しないと元が取れない)もわかっているからなのでしょうね。

  寿命が尽きる2年前はいつなのかは分からないけれど、ある程度の年齢になったらいつその時が来てもいいように、毎日汲々としておびえるよりも、好きなことをして心残りなく生きた方が良いという、アリとキリギリスならキリギリスの方が得!というのは、なかなか響きました。

  医は仁術と言うより算術になってしまっている中、こういう本音が書けるのは、著者が特定の組織に属しているわけではないし、スポンサー付きではなく、さらに言えば作家としても生きて行かれる方だからなのだろうと思いますが、よう書いてくださった!という気持ちです。(*^▽^*)

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