楽しみにしていた朝の連続テレビ小説「ブギウギ」は終わってしまいましたが、続く「虎に翼」もなかなか面白そうです。
女性初の弁護士であった方がモデルだそうでして、好きな女優さんのひとりである伊藤沙莉さんが当時の女性をめぐる様々な障壁を越えて頑張っていく姿が描かれるものと思われます。
冒頭、女学校を卒業するまでにお見合いして結婚を決めるのが女の幸せという運びで、ヒロイン寅子、お相手が「僕は妻といろいろ話し合いたい」と理解ありげなので、ついついズバズバ話す本領を発揮したところ「女のくせに」と本性を現したお相手に振られるというシーン、実は今でもありそうです。
お見合いこそ主流ではなくなっていますが、自分より控えめな女性を好む男性、自己主張をする女性をいとう男性や年配者(含女性)は未だに多いと思います。
この写真は戦争が始まる前の昭和の一コマ。祖父母の間に建っているのが母。左端は行儀見習いで家のことをやってくれていた当時の言葉で言えば女中さん。
母よりは15歳年上という設定の寅子さんの家庭と当時の母の家庭環境は割と似ているのではないかと思いますが、祖母いわく体が弱くて女子大を中退したから結婚してやったんだと祖父が言ったそうです(死人に口なしなので、祖父の本意はわからないままですが、祖母は「田舎育ちのおじいちゃまは私が天女に見えて結婚したがったんだ」とも言っていました。仮にそれが事実としても、祖父は体面上、妻は自分より格下と言ったのでしょう)。
母は母で戦後、某女子大に合格したのに、祖父が「女が上の学校に行ってもろくなことがない」とばかりに口を利かなくなって、根負けして進学をあきらめたとたまにこぼしていました。
ですが・・・その母からして、いわゆる適齢期になった私には結婚こそ、女の幸せとヒロインの母と全く同じことを言いました。
私が寅子さんのような才もないので、社会の荒波にめげないようにと彼女なりに娘の幸せを考えてくれていたのだろうと思いたい面もありますが、自分たち世代ではまだまだ幅をきかせていたと思われる「娘が独り身でいつまでも家から出ないのはみっともない」が「女の子の一人暮らしはとんでもない」という考え方に凝り固まっていた面が大きかったと思います。
私の周囲に限ってかも知れませんが、同級生や会社の同僚など、キャリアを貫いた人は寡聞で、レアケースでは教職、公務員のみという感じ。会社員だった人は出産を機にいったん退職して、子どもの手がある程度離れて来たら再度職業を手にする、それも非正規雇用が多数派という感じでした。
とにかく結婚という社会圧が強く、次いで出産をしなくてはという圧もあって、それをはねのけられるのはよほど意思が強いか、変わり者呼ばわりを屁とも思わないメンタリティの持ち主くらいしかいないという感じでした。特別な才能がなければ子を持たない選択肢は殆どなくて、授からない人はかなり肩身の狭い思いをした時代でもあります。
ぶっちゃけ、私の結婚はお世辞にも成功したとは言い難く(いや、失敗だろう💦)、しばしば家人Aの溜め込み症状態と物による家庭内領土拡張傾向、そのほか諸々に立腹したりあきれ果てたりで、ブツクサと書き散らしてはおりますが、反対方向から見れば、家人Aは「地味顔のせいでおとなしそうに見えた」私に騙された被害者ではあります。人を見る目がないにもほどがあるぞ〜ぃ。
というのは置いて・・・平成、令和とかなり変わってきているのは感じます。
結婚したての頃に我が家に遊びに来た義母がお茶を出したりしようとする家人Aに「あんた、男が台所に入ると出世しないよ」と言ってビックリしたのは今も忘れられませんし(その時、この人は台所に入ろうと入るまいと出世しませんよと内心思ったのも忘れてはおりません)、 妊娠した時も第一声がおめでとうではなくて「あんた仕事はやめるの」だったのも忘れられませんが、今は出産後も母子に健康上の問題がなければ、職場復帰する女性がとても増えています。
ただ、建前は男女協働と言いつつ、実際は家事・育児の負担はいまだに女性に集中しがちで、それがXや発言小町のような場所ではしばしば不満という形で表れているのをよく見ます。
男だってつらいんだよという言葉も確かにわかる面もありますが、未だに寅子が言った「女は損」という面が残っているからこそ、このドラマに惹きつけられる人が少なからずいるのではないかと、そう感じる事が多かった一人として思うのです。
いつの日か、株主総会の案内書類に並ぶ顔写真入りの役員紹介ページに、弁護士資格を持つなどの外部の社外重役ではない、生え抜きの女性社員の顔が半分くらいは掲載される時が来るのでしょうか、いや来てほしいです。