いや〜、昨日借りて来た本が思いのほか面白かったです。

  フレンドリーな雰囲気の表紙、著者の人となりは「ダーウィンが来た」やXで少しはわかっており、いわゆる学者・学者したえらそ〜な方ではなくて、普通の若者感のある方だなぁとは思っていたのですが・・・

  いはやはものすごい熱量です。
  
  身近な鳥、シジュウカラは実は言葉を使っているらしいと気付いての数々の実験。

  特に野鳥の楽園と呼ばれているらしい軽井沢の学生向けおんぼろ施設に籠っている時はコメ以外の食糧が底をついても、買い出しに行く往復時間がもったいなくてコメを3つのバリエーションにして食べていたというほどの没頭ぶりはすさまじい。

  その後も説得力のある論文を書くためにとそれはそれはしつこく熱心に実験を重ねて、と書くと鬼気迫るような感じですが、ご本人の文章はかなりほんわか調で重苦しさがありません。

  本文イラストもご本人によるものでほんわか調でいて分かりやすいです。

  好きなことをしている時って、苦労は苦労でも前向きな苦労なんですね。

  ルー大柴さんが好きで、鳥が二語文を使っているという実験にはルー語もヒントになったとか、情人にもわかりやすく面白い書き方なので、どんどん読み進んでしまいます。

  学者と言うと、一段も二段も高いところに上がって、おまいら頭が悪いヤツらが理解できなくても知らんわ、みたいな感じの方もおられますし、難しいことをとってもむずかしく説明される方も多いのですが、この方は平易にひょいひょいと語られるので、私のような鶏脳なやつでも(というような書き方をしたら鳥大好きな著者に叱られそう)スイスイと頭の中に入っていく・・・ような・・・気がします。

  春先、小屋開きでウサギ山小屋に行くと、澄んだ空気の中、ツピーツピーなどと鳥の声が聞こえるのでいいなぁと思っていたのですが、この本を読んだあとには「あれは警戒せよ」かも知れないなぁなどと思いそうです。

 巻末に代表的な鳥語を聞くことが出来るQRコードもありまして、とにかく楽しく読めました。

  すごい人だし、そのすごさは後半に語られていますが、自慢げに聞こえないのがお人柄。

  ご両親が実家の庭でシジュウカラハウスを守っておられるなど協力的で、普通の子どもと違うけれどそれを否定したり矯正しようとせず応援してくれたというさかなクンも思い出しました。

  もう少し書評っぽいものをお読みになりたい方は、読書ブログの方へど〜ぞ。(^^ゞ



  とてもおこがましいながら、私も雑草とひとからげにして「名もなき草」扱いすることに人間の傲慢さを感じるのですが(と言いつつ実際にはむしったり刈ったりはしておりますが)、著者も言語を操れるヒトは別格という井の中の蛙状態ではいかんと活動されているとの事。

  速攻で金にならない研究には金を出さん!という傾向が強まっている日本ですが、著者が東京大学に動物言語学研究室を創設されたというのはちょっと明るい気持ちになれる話題でした。


  蛇足ながら・・・金にならない研究の上位にあがりそうな天文学、大好きな野辺山の天文台が予算を削られて存亡の危機をXの公式アカウントで訴えているのを見て以来気にしています。

 今春「コナン」のアニメ映画で取り上げられるそうで、知名度を上げて、財政的にもプラスになりますよ〜に!🙏

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